°１６ ページ18
「レオリオ、A、もう少しだぞ!」
前方に外の光が見えたのを、いち早くクラピカが見つけて言う。
そうして私達は何とか地下から出れた訳なんだけど…
「ヌメーレ草原、通称"詐欺師の塒"。
…十分注意してついて来て下さい。騙されると死にますよ。」
サトツさんがそう解説してくれた。
どうやら此処は奇々怪々な動物達の住処で、あの手この手で私達を殺そうとしてくるらしい。
＿つまりは、
此処を突破しなければ、ヒソカは私を認めてくれないだろう。じゃあ、どうしたら…。
なんて目を伏せた瞬間、物陰から傷だらけの人が現れた。
「俺が本当の試験官だ!!そいつは人面猿、受験者を生け捕りにする気だぞ!!」
彼はそう言うと、サトツさんを指差す。
それじゃあ、あのサトツさんは偽物で、このままだと私達は生け捕りになるってこと…?
いやいや、サトツさんははじめからいたし、そんな訳無いと思うけど、やっぱり…。
あれこれ私が考えていると、目の前を何かが一瞬で通り過ぎる。
「くっく♧これで決定だね◇」
…どうやら正体はヒソカのトランプだったらしく、傷だらけの男の顔面には数枚トランプが刺さっていた。
対してサトツさんは、平然とトランプを手に受けて立っている。
荒々しい方法だったけど、実力差は明らかになった。
「試験官といえど、ハンターの端くれともあろうものがこの程度の攻撃を防げないわけないからね♤」
「…誉め言葉と受け取っておきましょう。
しかし、次から私への攻撃はいかなる理由でも即失格とします。」
ヒソカの言葉を受け流すサトツさん。
「何人かは、騙されかけて私を疑ったんじゃありませんか?」
図星だったのか、頭を掻くレオリオ。
私も混乱してしまったから、余計にサトツさんの言葉が応える。
"騙されたら死にますよ"という言葉の本当の重みを、私はやっと理解し始めていた。
「それではまいりましょうか、二次試験会場へ。」
そう言うと又サトツさんは進み出す。
私達も着いていくけれど、これからの不安で胸が一杯で。
「ヒソカ、さっきから何見てるの?」
「ゴメンゴメン◇いや、雛の成長を応援したくてね♧」
ヒソカがこっそり私を見守っていたことなんて、私は全然気付かなかった。
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作者名：なぎテラス | 作成日時：2021年1月28日 19時
