[進撃の巨人]長身の彼と三次元の私 Part2[ベルトルト]

第７３話 「事故？」 ページ35

「A、 どうしたの？ そんなに巨人を見つめて……」


下に群がっている巨人を覗き込み、 じっと見つめているAにベルトルトが言った。


「まあ、 これと言った理由は無いんだけれど……ウーン、 なんとなく？」


なんとなくで巨人を見つめている自分が、 なんだか変人みたいだなとAは思った。


「そ、 そう……それはいいんだけど、 気をつけてね。落ちちゃったら大変だから」


ベルトルトはそんなAを心配そうに見ていた。

その事に感激しつつも、 Aがスッと立ち上がったその時。

森の奥から、 甲高い悲鳴の様な音が、 森に大音量で響き渡った。

あまりの大きな音に、 森の木々が震える程だった。

突然の出来事にAは驚き、 その拍子に木の枝から足を滑らせてしまった。


「A！！！」


ベルトルトがAの腕をすぐさま掴み、 グイッと引っ張った。

間一髪、 Aは落下を免れた。

だが、 腕を引っ張るベルトルトの勢いが強過ぎて、 Aはバランスを崩し、 そのままベルトルトの方へ____

マズイ、 とAが思ったのも束の間、 Aはベルトルトに完全に寄りかかってしまった。

ほんのりと、 ベルトルトの温かさが感じられてきた____だが、 Aはすぐにベルトルトから離れた。


「……ごっ、 ごめん！」


Aの頰は、 真っ赤に染まっていた。

ベルトルトも少し頰を赤らめていたが、 A程ではない。

「う、 ううん、 気にしないで……僕も、 ごめん……」

首を振って、 頰をほんのり赤く染めたベルトルトが言った。

ベルトルトはそう言っているが、 Aの頰は真っ赤なままだった。

Aがベルトルトに触れたのは、 初めてだった。

とても、 温かかった____Aはそう心の中で呟いた。

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