喪うかもしれない2 ページ41
静かに息を吸い込み、吐き出す。
相手は低級、私が祓わなきゃいけない敵……。虎杖くんの手を煩わせる程の存在じゃないはずだ。
素早くナイフを投げつけ、持ってきた武器の一つ、銃を取り出す。
銃なんて、エアガンのピストルをちょっと触ったくらいの知識しかない。それでも手に取った以上、考える時間なんてあるはずがない。
震える右手を下から左手で支えながらトリガーを引くと、乾いた銃声が一発、響く。思わず閉じた目を開けると、相変わらず不気味な笑い声を上げる呪霊。
弾は想像していた軌道から反れて首を掠ったようだったが、呪力を上手く込めることが出来なかったらしい。
特にダメージもないと言いたげなそれに、足元が崩れるような絶望を覚える。
次は上手くやらなきゃ──。
頭がそのことだけで、いっぱいになっていく。
私がやらなきゃ、私が祓わなきゃ。私が、私が……
『違う』
耳元で聞こえた、静かな、──けれど強い否定の言葉。
視線が、僅かに左に逸れた瞬間だった。
「──ぶねぇ!!」
全てが、スローモーションに見える。
虎杖くんの身体が、目の前に現れて、そして──
重い何かが、壁にぶつかる音がした。
目の前に飛び出たはずの虎杖くんの姿はもうない。
頭が、理解することを拒む。
「ヒュウッ……」
喉が、引き攣った音を鳴らす。
私の、せいで──。
「虎杖くんッ!!」
「祓え!────」
その声に突き動かされるように、私は再び銃を構える。
狙いは一点──
ガンッ!!と一発。
青白い炎に包まれた銃弾は、いとも簡単に呪霊の胸に風穴を開けた。
75人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - 初めまして宿儺様沼にハマり、作者様の作品に辿り着きました。とても面白いですし、宿儺様との展開が楽しみです!更新大変でしょうが応援しております!! (2021年4月26日 18時) (レス) id: 9087c45e44 (このIDを非表示/違反報告)
星空の砂時計 - とても面白いですね♪ 作者さんのペースで更新を頑張ってくださいね! 私も呪術廻戦にハマり、作品を書いている者なので機会があれば何処かでお会いしましょう! *´▽`* (2021年4月18日 14時) (レス) id: a21ef6301e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さっく。 | 作成日時:2021年3月26日 8時