それはあたりまえの、 ページ4
「母さん、しょうゆ」
『先月公開された映画──』
私たちの朝は、どんなに遅くても家族
家族というものは全員で食卓を囲むものだから、そうするべき。と言うのが、おばあちゃんの信念らしい。
とくに話をする訳でもなく、カチャカチャと箸が食器に当たる音だけが響く食卓。
「母さん、おかわり」
時々聞こえてくる声も、テレビから流れるアナウンサーの淡々としたナレーションとお父さんの声だけ。
ギッ、と椅子が床と擦れ、耳障りな音を出す。
少しだけ、眉がつるような感覚。
「Aも、おかわりある？」
「ない。あと、今日、少し遅くなるから」
最後に食べようと残したサラダのプチトマトにフォークを突き刺し、私はそれを口に放る。
行儀、と怒られたが無視を決め込んだ。
「御守り、ちゃんと持っておきなさいよ」
「分かってる」
テーブルに手を置き、立ち上がると首に提げていた巾着が視界に入る。
「……ご馳走様」
「お粗末さん。A、そこのも持っていきなさい」
おばあちゃんが指さしたのは、空席の場所に並べられた朝ごはんだった。
白いご飯と空の味噌汁茶碗。
誰かのために用意されたそれは、すっかり当たり前の光景になっている。
きっと、私が将来誰かと結婚して子供を産んだ時も──こうして姿の見えない誰かのために、ご飯を用意するんだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - 初めまして宿儺様沼にハマり、作者様の作品に辿り着きました。とても面白いですし、宿儺様との展開が楽しみです！更新大変でしょうが応援しております！！ (2021年4月26日 18時) (
レス) id: 9087c45e44 (このIDを非表示/違反報告)
星空の砂時計 - とても面白いですね♪ 作者さんのペースで更新を頑張ってくださいね！ 私も呪術廻戦にハマり、作品を書いている者なので機会があれば何処かでお会いしましょう！ *´▽`* (2021年4月18日 14時) (レス) id: a21ef6301e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さっく。 | 作成日時：2021年3月26日 8時
