別世界のような世界 ページ12
お気に入りの服に着替えて、私は少しの間時間を潰すことにした。
一度ベッドに戻り、枕元に置きっぱなしにしていたお守りを首にかける。
それから、あやみの個人チャットルームを使って学校を休むことを伝えると──
『もぅぴえんなんだけど』とだけ返ってきた。
ぴえんって、何……?
『ぱおんでもある』とさらに通知が来て、余計に混乱する。
分からない言葉は見なかったことにして、足音を立てないように部屋を出る。
人の気配はない。
仮におばあちゃんがいたとしても、適当に理由をつければ逃げられるだろうとゆっくり階段を降りた。
ギシギシと軋む板の音が、今日はやけに響く。
警戒も怠らない。
廊下に人がいないことを何度も確認して、急いで玄関に向かう。気付かれる前に、とウィングチップのシューズに足をひっかけてドアを開ける。
カチャン、と軽い音を立てて開いたドアの向こうは、やけに静かだった。
平日なのだから当たり前だけど、それが異世界へと迷い込んだような不安をもたらす。
ドアの向こうへ行ったら、そこはもう──。
いや、そんなわけないよね……。自分にツッコミを入れた。
多分、またよく分からないものが見えるようになっただけで、きっと両親の目に見える世界は変わらない。
「よし」
小さく呟いて、私は一歩足を前に踏み出した。
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ゆず(プロフ) - 初めまして宿儺様沼にハマり、作者様の作品に辿り着きました。とても面白いですし、宿儺様との展開が楽しみです!更新大変でしょうが応援しております!! (2021年4月26日 18時) (レス) id: 9087c45e44 (このIDを非表示/違反報告)
星空の砂時計 - とても面白いですね♪ 作者さんのペースで更新を頑張ってくださいね! 私も呪術廻戦にハマり、作品を書いている者なので機会があれば何処かでお会いしましょう! *´▽`* (2021年4月18日 14時) (レス) id: a21ef6301e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さっく。 | 作成日時:2021年3月26日 8時