【呪術廻戦】運命を繋ぐ【両面宿儺】

ずっと真夜中ならいいのに ページ2

──ピ、ピ、ピ……


その音が聞こえてくる度、目が覚める度、私は憂鬱(ゆううつ)になる。


二十四時間ピッタリで一日が終わってしまうように、朝が終われば夜も終わるように、この世界の当たり前がどうしようもなく私を虚しくさせる。


神様というのは時に残酷だ。


「ずっと真夜中ならいいのに……」


人生で何度呟いたかも分からない言葉が、ベッドシーツに溶け込んでいく。


夢の世界でしか会えない、目が覚めてしまえばどんな顔をしていたのかも忘れてしまう人なら──ずっと夢の中にこもっていたい。


あの世界でなら、言葉に出来ないほどの多幸感に包まれるのに。



「A、早くしないと遅刻するんじゃないのー？」


階下から聞こえるお母さんの声に、ぼうっと根暗なことを考える頭はゆっくりと切り替わる。



学校に行かなきゃ……。



起きて、着替えて、それからご飯を食べて──



枕元の薄汚れた巾着袋に手を伸ばす。


御守り──と私が呼んでいるそれは、縦長の少し大きな袋に大量の綿と何かを詰めたこの世に一つしか存在しないもの。




誰かのために受け継がれていく大切なもの。








「おはよう、お(・)ま(・)も(・)り(・)さん」


今日も、よろしくね。と声をかけて、私はそれを首にかけた。



スイッチがゆっくりと、オンになる。


それと同時に、近くで「ああ」と楽しそうな声が聞こえたような気がした。





それは、夢で見たあの人と似た──

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