Lost 47 ページ18
俺はその言葉を
すぐには呑み込めなかった。
末澤｢………北海道？｣
A｢お父さんの転勤決まって。
実は夏休み前にもう辞令出てて｣
末澤｢……何で言わんかったん？｣
A｢夏休みの大切な時期に言うのも
申し訳ないなって思って。
………そしたら、ズルズルとこんな時期｣
何で、今、このタイミングで？
末澤｢お前もついて行かなあかんの？｣
A｢女の一人暮らしは心配だって、
お母さんがそう言ってて……｣
末澤｢受験どうするん｣
A｢もちろん、あっちの大学受けるよ｣
末澤｢こっちの大学受ける言うたやん｣
A｢変えたの。言わなくてごめんね｣
俺は春先にAから
志望校を教えてもらっていた。
別々の大学だけど同じ路線だから
『大学生になっても
まだ一緒に通わなあかんのか〜？』
なんて憎まれ口を叩いた。
一切、何も気付かぬうちに
今になって知るなんて。
末澤｢……言うてくれても良かったのに｣
A｢言いたかったよ。けど………｣
末澤｢けど？何や｣
A｢言っちゃったら、何か………
寂しくなっちゃうって、思ったの｣
Aは笑顔を浮かべつつも、
その瞳には涙が潤んでいる。
その涙がどういう理由かなんて、
俺には全て分かる訳じゃなくて。
でも、うぬぼれても良い理由だったら
俺に今出来ることなんて1つしかなくて。
末澤｢………寂しくなんてさせへん｣
A｢誠也………｣
俺は柔らかく、Aを抱きしめた。
Aはいつもみたいに
突っぱねる事もなく、
そのまま俺の腕に包まれる。
末澤｢俺はお前の側にずっとおるよ。
どんな形になっても近くにおるから｣
いつか伝えようと思っていた事。
Aが俺の事を忘れてしまって
居ない事が当たり前になっても。
それでも伝えたかった。
Aが辛い時や寂しい時に
俺の姿形が見えなかったとしても
側にいて支えてやりたいって。
末澤｢………俺と、思い出作ろうや｣
A｢………うん｣
末澤｢お前のやりたいこと叶えたるから｣
A｢………うん｣
末澤｢俺ら、きっと同じ気持ちやね｣
A｢………うん。きっと、同じ｣
末澤｢………Aのことが、好きや｣
Aはそれに応えるかのように
俺の背中にゆっくり腕を回す。
Aから伝わる温もりを
俺はずっと離したくなかった。
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ゆい(プロフ) - もう更新はしないんですか？？？ (2021年3月17日 1時) (
レス) id: 1ca1725196 (このIDを非表示/違反報告)
いちごぷりん - このお話ほんとに面白いです(*≧∀≦*)ハラハラしながら読んでます。無理しないで頑張ってください！更新待ってます！ (2020年3月5日 8時) (レス) id: 39651266d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふーか - 更新待ってます！ (2020年2月21日 22時) (レス) id: 6f297082fe (このIDを非表示/違反報告)
なにふぁむみ☆ - あ、元みぃ☆です (2019年12月25日 22時) (レス) id: bd60e02c69 (このIDを非表示/違反報告)
なにふぁむみ☆ - 大変ですね…。ずっと待ってるので、頑張ってください！ (2019年12月25日 22時) (レス) id: bd60e02c69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sakura | 作成日時：2019年10月24日 22時
