特級呪術師が解呪するまで。【呪術廻戦0】

解呪 ページ19

「…失礼だな、純愛だよ」






里香ちゃんの力が最大限に引き出されている。




夏油「ならばこちらは大義だ！」





お互いの最大限の力がぶつかり合う。今私がここで手を出しても、今の状態であれば本当に最悪の事態をまぬがれない。


大人しく、見守っていよう。今この瞬間は乙骨くんと里香ちゃん、夏油の戦いだ。






ドオオォォォン！！




大きい音と一緒に爆風が来る。結果はどうなっているのか、と必死に目を凝らしてみれば、夏油の姿はもうそこにはいなかった。






乙骨くんたちの、勝ちだ。





その安心からか、力が抜けて膝から崩れ落ちる。その音に乙骨くんが気づき、こちらに駆け寄ってくれる。キミも本調子じゃないだろうに。







『よか…ったぁ、勝ったね、乙骨くん』




はい、とニコリとほほ笑む乙骨くんに、ふふっと笑いが思わず漏れてしまう。
つられて乙骨くんも少しだけ笑った。






「憂太〜！」



「こんぶ〜！」




「あっ、真希さん、狗巻くん、パンダくん…！」




「Aが呪霊と戦っている間、重力で治療してくれたおかげでな、見ての通りピンピンしてる。」



皆が来たので、私は最後だ、頑張れと自分を励ましながら、無理やり立った。



皆、ボロボロ。

私は、この瞬間が好きだ。ずっと、昔から、この瞬間が。







「……憂太」


「…ごめんね、里香ちゃん。待たせたね」




その言葉にハテナが浮かぶ私達にバツが悪そうな顔をする乙骨くん。





「えーっと、力を貸してくれる代わりに里香ちゃんと同じところに逝く約束をですね……」



「「「はぁっ！？！」」」






「オマエそれ死ぬってことじゃねぇか！」



「何考えてんだバカ！！」




しかし乙骨くんはもう腹をくくっているのか、皆の言葉をしっかり受け止めている。
…乙骨くんの人生だから、乙骨君が決めたのなら…、でも、やっぱりどうしようもない悲しい感情がふつふつと湧き上がってきて、下に俯く。









すると、里香ちゃんは呪霊の姿から一転、可愛い女の子に姿を変えた。






本来の里香ちゃんの姿を目にしたのは、これが最初で、最後だった。

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