悠仁ノ幼馴染【呪術廻戦】

3-7 ページ28

独りでシュンとなっていると、先生の疑問の声が上がった。

「でも別に悠仁が戦う必要なくない？ 宿儺の指は僕や伏黒が取ってくるから、君はここで待ってればいいじゃん」

　悠仁がその選択を選ぶ訳がなかった。 安全にいてくれるのは、確かに私が望む事だけど、悠仁は大人しく籠に収まる人ではない。 私自身も、そんな悠仁はありえないと分かっている。 だから、あえて口は出さなかった。 なのに、

「でもAは反対かもしれないよ？ ……悠仁は、Aを危険に巻き込むの？」
「先生!? 私はっ」

「Aは、俺が守る。 今も昔も、――これからも、ずっと。 だから大丈夫だよ。 先生」
「……わぁお、愛の告白みたいだね。 結婚式はいつかな？」
「告白ってか、約束。 ……Aが泣きそうな顔、見たくねーしな。 家族みたいなもんだし」

(……悠仁)

　幼い頃から、怪しい大人たちから悠仁は守ってくれた。 近所にいた男の子が、私の髪を引っ張っていたときも「何してんだよ！」って駆けつけてくれた。 ……姉に、平手打ちをされて、独りで落ち込んでた時も、「大丈夫か？」って、慰めてくれた。 お父さんが行ってしまう日には、必ず家に来て一緒に遊んでくれた。

(全部、悠仁が私を守ってくれたこと、ちゃんと覚えてる。 だから今度は)

「私も、悠仁を守るよ。 家族なんでしょう？」
「そーだな、Aも頑固な爺ちゃんにっそくりだかんな」
「……悠仁、ここぞとばかりに蒸し返さないで」

　先生は私含め悠仁も試したらしく、陽気そうな顔で話を続けている。 宿儺の回収には、手間と時間がかかっていたが、今は悠仁がいることで、時間が短縮できることを説明してくれている。

「そんな親切かぁ？ コイツ」
「そこはWINWINの関係が築けると思う」

　扉に手をかけ、二人の後に続き部屋を出ると「げ、隣かよ」という不満そうな声が聞こえた。 声の正体は、緩い服装を着て頭をかいている伏黒だった。

「おっ、伏黒！ 今度こそ元気そうだな!!」
「よかった。 元気そう」
「……前も聞いたぞ、ソレ」

　先生と伏黒が会話している横をすり抜けて、悠仁は伏黒の部屋を覗き込んでいる。 勝手に部屋を覗き込んで良いのであろうか？ と疑問に思っていたら、既に悠仁は伏黒の怒りを買っていた。

　その後、明日、もう一人の同級生を迎えに行くことになり、各自解散になった。

　私は、寂しい気持ちなんか吹き飛ぶくらい、安心してぐっすりと眠りにつけたのだった。

＊イラスト注意→←3-6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す