夜 ページ29
あれから幾日か経って、Aは術師としての生活に慣れていった。1人ではまだ任務につくことはできず、常に五条の同伴があった。その際特に活躍するということもなく、五条や虎杖達の戦闘を見学しているという形だった。
何もない部屋。全く味気ないというわけではなく、勉強机と称した新品の机には五条からもらったお菓子が陳列している。
歯を磨いてもう寝ちゃおうかな。
時刻は午後8時。
特に何もやることもなく、何ができるかも分からず、時間を持て余す。
明日からは、真希さんみたいにランニングとかなんか闘いにもっと参加できるように体作りでもしていこう。
しばらく寝込んで五条に過保護に扱われた身体は以前より幾分小さくなった。最低限のもので生活している今、体重も不明だ。減っているだろう。
ベッドに沈み込んだ体を起こし、洗面所へ向かい歯ブラシを手に取った。
歯磨き粉を乗せた歯ブラシを口に運ぶ時、ふと違和感を感じる。今となっては食事をするだけしか機能を果たしていない口という部位。声が普通に出るような気がしてしまって、喉を広げ息を吐いてみるが微かな吐息が聞こえるのみ。慣れ始めた感覚だった。
ーコンコン
部屋の扉が叩かれた。
Aの部屋の扉を叩くのは大概が五条だ。
ドアノブに手をかけ、Aは毎度恒例の来訪者を招く。
「鍵閉めなさいって。」
任務帰りなのか、いつも通りの姿。五条が遅くに帰ってくることは珍しくなかった。
高専の敷地内であるし、怪しい人間が紛れることのないセキュリティは把握していた。それに大して何もない部屋に他人が入る必要性も感じず、Aの部屋の鍵は開放されていることが多かった。普段軽薄な五条でも、Aの警戒心の薄さには目を見張るものがあった模様。
誰も入ってこないからいーじゃん。
「僕みたいなのが勝手に入ってしまうかもしれないよ。」
五条は口角を上げてそう言った。するつもりもないことを相手の反応を伺うために発言する彼の悪い癖だ。
別に何もないから入っても良いけど。
Aは反応に困って眉をひそめて少し口角を上げ、明らかに困ったような表情をした。
五条はいつも何も用もないままこうして部屋の扉を夜な夜な叩くことがあるのだ。特に五条が仕事で会わない1日や、遠くの任務から帰って来た日は必ずだった。まるでそれが恋人同士のようで。Aは照れ臭かった。そして、五条は顔を見るだけ，特に話があるというわけでもなくすぐに帰っていくのだった。
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ゆうき(プロフ) - 時さん» すごく嬉しいです。ありがとうございます。時さんも更新頑張ってください。いつでもコメント欄いらっしゃってくださいね。 (2021年8月6日 11時) (
レス) id: 67d009fa41 (このIDを非表示/違反報告)
時(プロフ) - コメント失礼します！最初で一気に惹かれました！続きを楽しみにしています！無理せず更新頑張ってくださいね！ (2021年8月6日 11時) (レス) id: 65803b71a1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ラリマさん» コメントありがとうございます。凄く嬉しいです。優しいお言葉感謝します。ラリマさんも体調にはくれぐれもお気をつけくださいね。作品の方にもお邪魔させていただきます(p_-) (2021年8月6日 0時) (レス) id: 67d009fa41 (このIDを非表示/違反報告)
ラリマ(プロフ) - コメント失礼します! 続きがすごく楽しみです！これからも体調に気をつけて更新頑張ってください！！！ (2021年8月6日 0時) (レス) id: 3c461fe813 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうき | 作成日時：2021年8月3日 22時
