拮抗5 ページ35
「なあ、何があったんだよ?」
伏黒、虎杖、釘崎の3人は帰路についていた。
伏黒を囮にして、潜入していた二人だったが、驚くほど施設内の警備は薄手で、渾の嗅覚を頼りにAの痕跡をスムーズに探すことができた。
しかし、分かったのはAは一度もこの施設へ来たことはないということだけだった。
「あんたがいきなり間抜けな顔で廊下に立ってて”帰るぞ”なんて言うからびっくりしたわよ。」
釘崎は伏黒の顔を模倣しているのか、伏黒のセリフを口にするとき、目を伏せて声を落とした。
「何度も言ってるが、帰されたんだ。」
「へー、夏油ってやつよく分かんねー。」
「ま、無事で帰れたに越したことないわね。ただ結局Aの居場所はわからないままだわ。」
釘崎の言葉に3人は肩を落とした。
それぞれが次の作戦を考えているのか、無言のまま歩みを進める。
「はやくAを見つけなきゃ…。」
「だな。」
虎杖の独り言のように呟くのに、二人は頷きあい目線を交わす。
「焦んなよ。あの子がどんな環境で捕まっているかわからないんだから。」
釘崎の言葉に二人は息を呑んだ。
高専では拐かされたとされているAの安否を心配する者もいれば、もう殺害されている可能性を示唆する者もいた。
3人は何も情報のない中、その恐ろしい想像を拭うのに必死で、せめて命だけでも、と強く願っていた。
そのためにも敵側を少しでも刺激をしないように夜蛾からは、学生のみでの捜索やこれへの関与に一切手を出さないよう言伝られていた。
「でも早くしなきゃ。」
しかし、それでも3人には学長の指示に違反してでも、Aの捜索を早急に進める理由があった。
それは
「早くしないと…五条先生が俺らの先生じゃなくなる…。」
Aの死刑執行人を拒否した五条が、教師としての権利を一切剥奪されることが予定されていたからだった。
離反ともとれる騒動を起こした五条だったが、御三家の当主ということもあり、現在は実家で謹慎という形を取らされている状況にある。
そのため3人は、他の人物に処刑される前に自力でAを見つけ出す必要にかられていた。
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ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2023年12月15日 18時