拮抗4 ページ34
「そうだと言えば逃がしてもらえるか。」
「ああ！」
「は？」
冗談のつもりだった。
術式に気づいた夏油は、満足そうな顔をして頷いた。
先程刺々しく放たれていた殺気は嘘のようにそれは穏やかだった。
「禪院君、君はおかしいと思ったことはないか。」
夏油はゆっくりと立ち上がると、目を閉じた。
そしてぽつりぽつりと話し始める。
「私たち呪術師はその力を持って、長年弱き猿どもを呪霊から救ってきた。」
猿…非術師のことか？
「しかしだ！！！！」
「っ！」
突然の夏油の怒鳴り声に、伏黒はその身を堅くした。
何が起こっているのか、何の話をされているのか、伏黒には訳がわからなかった。
ただただ、それらしく説法を説く教祖の姿を不思議そうに見ていた。
「奴らは私達を虐げた！魔物と、異常者だと、悪の元凶だと！！それかどうだ？蓋を開けてみれば、世に蔓延る呪霊の素は非術師の念だというじゃないか。私たち呪術師が祓除すべくは非術師なのだ…禪院君。」
夏油は、ゆっくりと伏黒の方へ歩みを進める。
伏黒は戦闘体制を保ったまま、夏油の言葉に耳を傾けた。
「君は術師の家系だったからそこまでの苦労はなかったかもしれないね。だが、世には非術師の家系から生まれ、その特異な才能を発揮できず、猿に食い潰される者もいる。私はそんな彼らが安心して生きる未来を作っていきたいんだ。」
二人の間合いは縮まった。
夏油は右手を伏黒に差し出す。この手をとればこの男が伏黒の安全を保障し、味方としてこの場を穏便に済ませられることは伏黒にもわかっていた。
「私は君たちの味方だよ。君も…、術師が安全に生きていける世界を見たくはないか？」
しかし、伏黒にとってそれは全くの本意ではなく、それを嘯けるほど繊細な器用さも持ち合わせてはいなかった。
「どうでも良い。」
はっきりと伏黒は言った。
夏油の行き場のない差し出された手は動揺の色を見せる。
「俺は俺の大切な人を守れたらそれで十分だ。そこに術師も非術師も関係ない。」
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ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (
レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうき | 作成日時：2023年12月15日 18時
