凱旋 ページ22
「Aーっ!!!!」
『わわっ。』
ここへ来て数週間。Aはいつしか慣れたその場所で居住し、日々訓練を行っていた。厳しい訓練に明け暮れ、久しぶりに見た顔は涙を目に浮かべた美々子と奈々子だった。
Aは体に覆い被さる二人を宥め、開いていた教科書を閉じた。
「げ。訓練ばっかりだと思ったら次は勉強?」
『あはは、だって勉強しなさすぎてやばいんだもん。』
「真面目。」
『痛いよぅ、美々子』
美々子がAの頬を抓る。
双子はソファに深く座るAの両脇に座り、その身をAに寄せた。
「訓練訓練訓練。家にいると思えば一人で訓練。ゆっくり話せたのなんて来た初日だけだよ!?夏油様だってひどい!ずっとAにつきっきりで訓練に行っては、そうじゃない時は仕事で不在!私たちも任務があるし全然会えないーっ!!」
大きな声で子供のように喚く奈々子に、Aは申し訳なさそうに微笑んだ。食いしばる奈々子の肩に手を乗せて、ごめんね、と謝る。
訓練に集中していたから気付かなかったけど、二人は夏油さんのことが好きなんだもんね。ちょっと無神経だったかなぁ。
そう思い、悩むAに美々子が言葉を重ねた。
「Aなら良いよ、夏油様といても。だって、あんなにいつもボロボロだもん。頑張ってるんだろうなって思ってる。」
美々子の言葉に、Aの胸がじーんと暖かくなった。
訓練中の夏油の言葉は、Aを褒めるものが多いが、第三者にこうして努力を評価されたのはAにとって嬉しいことだった。
「そうだけどさぁー!」
「でもね、A。」
語気を強めた美々子の言葉に、騒ぐ奈々子も黙っている。
Aは何を言われるのかと小さく心臓が跳ねた。
「反転術式で体の傷は治っても、ボロボロになった服でどんな激しい訓練をしてるかは分かるんだよ。」
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ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2023年12月15日 18時