誤審2 ページ16
Aは今朝のことを発端に、より洗礼された呪力操作を手に入れ、長らく骨折していた足も自ら治癒させてしまっていた。
本人は『これがあるとうまく服が着れなくて…。治れって思ったら治っちゃいました。これも覚のおかげかな。』と覚をみつめ穏やかに言った。
悟への人質…、いやもしそれで彼女があいつの手に渡ることがあれば私たちは無事では済まない。
殺せば今まで無戦で落ち着いていた高専との間に新たな火種が…それも面白いと思っていた。全面でぶつかり合うのもいいと。
役に立たない分際で仲間にする価値もない。
彼女は得体の知れない時限爆弾のようなもの。
力が暴走すれば私とて無事では済まない。
「ククッ…」
高専とやり合うよりも恐ろしい。
『夏油さん?どこ行くんですか。』
朝日も届かぬ暗い森の中。Aは迷わないように必死に夏油の跡を追いかけている。
袈裟姿ではなく、私服に身を包んだ夏油は、足場が悪いとはいえその鍛えられた体幹で、ゴタゴタした岩肌も、隆起する太い木の根の上でも平気に歩みを進めた。
「ここでいい。」
少し開けた場所を見つけた夏油はその歩みをとめた。
息も絶え絶えのAは、恐ろしいことを想像する。
もしかして,私この人気のない場所で殺される…?
朝まで優しくされていた男が唐突に恐ろしく見えてきた。
Aは無意識にも今来た道を後ずさる。
夏油はゆっくりとこちらに振り返り、その目はAをまっすぐに捉えた。顔には不適な笑みを浮かべている。
「さあ、A。かかってきなさい。」
それじゃあ私の犬にしてしまおうかな。
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ゆうき(プロフ) - びびでばびでぶー (3月8日 22時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ここまでスクロールしてくれたあなたはこの小説のファンということでよろしいでしょうか (3月7日 21時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - はちゃめちゃにイチャイチャしてるの書きたい、ストーリー展開させていくのきちゅい (3月7日 21時) (レス) @page37 id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメントほちぃ… (3月3日 23時) (レス) id: de69babae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうき | 作成日時:2023年12月15日 18時