028 ページ28
外れた扉を壁に立てかけていると背後で見守っていた4人からドン引きの声が聞こえる。ゴリラだ、メスゴリラだ、やっばいゴリラいる……などという声が聞こえる。この反応久々だなあとしみじみしていると開け放たれたロッカーに逃げ場がないと踏んだのか老婆が物を置いて逃げようとしていた。
それがきっかけか老婆が物を所持しなくなったことで彼らにも見えるようになったらしく驚きに目を見張っている。物は勝手に回収してと彼らに言い、ワタシは逃げようとした老婆の足をひっかけた。
「諦めなよばあちゃん。ここに居ちゃったのが運の尽きってやつだな」
ずりずりと這うようにしてまで逃げ失せようとする老婆には悪いがしっかりと祓わせてもらう。軽く足をあげてそのまま老婆の脳天目掛けて踏み抜くとぶちゅ、と呆気なく潰れた、腐ったトマトみたいに。呪霊の祓除なんて毎回腐ったトマトを潰すような感覚だ。
おーわり、と爪先をとんとんと地面につけて呪霊の血を落とす。そうして彼らに振り返ると彼らも自身らの私物を回収しきったようで腕いっぱいに物を抱えて重そうだった。
「失くなってた物全部あった?」
「うん! タオルもボトルもケア用品も全部あったよ」
トキミツくんが嬉しそうに言う。なんでも失くなる度にアンリちゃんに補充をお願いするのが心苦しかったらしい。なんていい子なんだろう、絶対呪術師になれないタイプの人間だな!
そんじゃ戻ろっか、と言って備品倉庫を出て、その瞬間特大の音量での放送が掛かった。
「おいイカレクソゴリラ!! お前いくらうちの備品を壊せば気が済む、あ゛ぁ!!?」
「やっべバレた。……いやぁ、脆いのが悪くね?」
「黙 れ。お前の壊した備品設備諸々の修理費は給与から差し引くからな、そして物を壊すな!」
「…………Aちゃんってもしかして問題児?」
「何をゥ! 至って真面目で真剣な優等生の間違いでしょ」
「ていうかゴリラって絵心さんにも共通認識なんだ……」
「ノットオシャ……」
「やっぱ馬鹿なんじゃねーか」
「酷い言われようだなぁおい」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ことこと(プロフ) - ぐらす。さん» コメントありがとうございます！ちょっと(というかだいぶ)ネジの吹っ飛んだ夢ちゃんのドタバタが見たくて自給自足……そう言っていただけるととても嬉しいです……!!ありがとうございます！ (6月1日 21時) (
レス) id: fe3705f0cd (このIDを非表示/違反報告)
ぐらす。(プロフ) - 夢主さんのキャラが好み過ぎて面白いです・・・！ (6月1日 1時) (レス) @page5 id: 6255010be3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ことこと | 作成日時：2023年5月31日 23時
