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フロイドの膝に強制移動させられたAが僅かに眉を顰めているのを気付かない振りをしつつ、ジェイドとアズールは和歌についての知識を強請っていた。
｢今来むと言ひしばかりにながつきの有明の月を待ち出でつるかな｣
｢今こん……？ それ本当に話し言葉ですか？｣
｢でなければ歌と言わないでしょうに｣
｢ねぇねぇ、Aちゃん。コレの意味は何なの？｣
｢今すぐに貴方の元に行く、と言ったから九月の夜長をひたすら待っていたのに、もう夜が明けて有明の月が出てきてしまった……ずっと待っていたのに、待ち人が来てくれなかった女性の寂しさを歌っています｣
『
日本独特の絵を不思議そうに眺めてみたり、古語を訳せず頭上にクエスチョンマークを浮かべていたり、訳を聞いてもよく分からないと頭を抱えていたり様々である。
｢僕はこの歌が覚えやすかったなぁ。あらざらむこの世のほかの思ひ出に今一たびの逢ふこともがな｣
｢それの意味は何なんだ？｣
｢Aちゃんパス！｣
｢はぁ……私も何れ死ぬでしょう。ならば、あの世へ逝く時の思い出として、もう一度だけでも貴方に会えたらいいのに｣
｢Aさん、この歌は何と読むのですか？ ニホンゴが僕達には読めなくて……｣
｢音に聞く高師の浜のあだ波はかけじや袖のぬれもこそすれ。貴方の浮気の噂は聞いていますが、私は貴方の為に涙で袖を濡らしたくはありません、という意味ですね｣
｢純愛を歌ったかと思えば景色の美しさに感嘆し、今度は恋人の浮気ですか。随分と個性豊かですね｣
どことなく嘲笑を浮かべているようなジェイドのことを、ユウとエースが半分程引きつつ横目で見ていることに本人は全く気が付いていないようだ。
他国文化、というよりかはAとユウの住んでいた国の文化に触れられることが嬉しいのか、本日のみフロイドの飽き性は内に引っ込んでいる。
アズールとリドルは古典に心惹かれているらしく、必死に日本語を理解しようとしていた。
｢A、この歌を教えてくれるかな？｣
｢忘らるる身をば思はず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな。……これは愉快な歌ですよ｣
｢え、百人一首に面白い歌なんてあったっけ？｣
不思議そうに首を傾げているユウの問い掛けに一つ頷いてから、Aは顎に細い指を這わして言葉を紡ぎ始めた。
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神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
