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お泊まり会だからといって特別な装飾を施すわけでも、沢山の料理を作ってパーティーを行うわけでもない。
食事と風呂は各々で済ませてから、適当な荷物を持ってくるだけの簡単な催しにすることとなっていた。
寮長ではない自分が参加することについてA本人は不思議そうにしていたが、個性豊かで協調性が微妙な彼らを呼ぶのだから、ユウの判断は至極真っ当なものだったと言えよう。
何故ならば、現に今、犬猿の仲であるマレウスとレオナが顔を合わせただけで威嚇し始めたのに対し、Aが言葉だけで簡単に落ち着かせたからだ。
｢Aに免じて退いてやろう｣
｢ア？ 調子乗ってんじゃねぇぞ、トカゲ野郎｣
｢喧嘩をするなと言っているのが聞こえないのですか。そろそろ手を出しますよ｣
｢｢……。｣｣
｢Aに参加してもらって正解だったわ｣
｢あの二人の喧嘩を"穏便に"止めることが出来るのは、学園内でAさんだけでしょうね｣
｢何かごめんね、Aちゃん｣
一旦は静かになったというのに三秒後には睨み合いが再開され、更には罵詈雑言が飛び交うようになったことにより、レオナとマレウスの横腹にはAの手刀が打ち込まれたのであった。
手刀の入れられた部分を両手で押さえ、体を丸めながら痛みに耐えている二人を放置し、彼女は傍観に徹していたユウ達の元へと移動する。
そのままグリムを抱き上げ、ぎゅうっと抱き締めながら癒しを求め始めたAの苦労を察して、リドルは少しだけぎこちなさのある手付きで彼女の頭を撫でた。
＊＊＊
お泊まり会の王道といえば、怪談話や恋愛話などが思い浮かぶであろう。
だがしかし、この場にはAが居ることを忘れてはいけない。
ユウを除いた寮長達は皆が皆、彼女のことを程度は違えど恋愛的に好いているのだから恋バナをしたところで不愉快な思いをするか、はたまた元彼の存在が浮上して落ち込むだけだ。
だからといって、奇々怪界な現象や出来事の体験を多く持っているAの怪談話など恐ろしくて聞けやしない。
その考えに至った結果、彼らは無難にゲーム三昧やお菓子パーティーを始めたのであった。
｢Aの苺タルトは絶品だね｣
｢ですよね！ 幾らでも食べれそう……！｣
｢美味いんだゾ〜！｣
｢A！ この綺麗なのは何だ？｣
｢"練り切り"というものですよ｣
｢随分と凝った食べものなんですね……ラウンジても出せるでしょうか？｣
何とも騒がしく、賑やかな空間が広がっていた。
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神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
