Request：Free hags ページ39
ずいっと目の前に表示されている画面を見つめながら、Aはきょとんと首を傾げた。
｢あのね、Aさん｣
｢はい｣
｢人間って三十秒のハグをしただけで、ストレスが三分の一になるんだよ｣
｢そう言われていますねぇ｣
｢だから兄さんとハグして欲しいんだ！｣
｢そこが分からないのですよねぇ｣
実はこの説明、今日で三度目なのである。
必死な様子でイデアとハグをして欲しい、兄を癒して欲しいと懇願しているオルトと、Aは無表情を崩さずにじっと見つめていた。
取り敢えず、理由を聞いてみなければ何も話が進まないと思った彼女は、オルトを連れて近場のベンチに移動して腰を下ろす。
｢まず、その不思議なお願いを思い付いた理由をお聞かせ願えますかね｣
｢うん。実はね、ここ最近ずっと兄さんの心拍数が異常値を示してたんだ｣
｢ふむ｣
｢それで理由を聞いたら、三日前に外に出た時に凄くストレスを感じることがあったらしくて……ストレス値がマックスで胃が痛いでござるって｣
｢はぁ……だからといって、私でなければならない理由はないでしょうに。同じ部活のアズールさんでもよろしいのではありませんか｣
Aが平然と言い放った提案は、イデアとオルトにとっては微妙なものであった。
細身で綺麗な顔立ちをしているとはいえ両者共に男性であり、仲が良いといっても"そういう関係"なわけではないのだから。
オルトが眉を下げながら苦笑いを零したのを見て、彼女もそれがあまり良い案ではなかったことに気が付いた。
傍から見れば、イデアとAは全く正反対の気質を持つ人間に見えるだろう。
だが実際、正反対に思えた二人は波長が一致し、出会って数分後には幾分と親しくなっていたのだ。
兄からの紹介でAと知り合ったオルトは、イデアがどれ程に彼女のことを信頼していて、心の拠り所としているかを知っている。
だからこそ、オルトはAに頼みに来たのだ。
｢……まあ、構いませんよ。これから予定はありませんし、イデアさんのところへと向かいましょうか、オルトさん｣
｢うん！ 行こう！｣
＊＊＊
イグニハイド寮、イデアの自室にて。
まるで蓑虫の様に掛け布団にくるまったまま微塵も動かず、外界を遮断している部屋の主の姿を見て、Aまオルトは静かに顔を見合せた。
今までにも外は嫌だ、敵しかいないと騒いでいたことはあったものの、今回はそれと比にならない位に参っているらしい。
どうしたものか、取り敢えずAは彼に近寄った。
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神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
