Request：獅子と子獅子 ページ4
｢A、コイツをどうにかしてくれ｣
｢無茶を仰りますね｣
レオナにまるで子猫のように首根っこを掴まれているチェカを見つめながら、Aは深い溜息を吐き出した。
睡眠を妨害されたのか、はたまた何かを強請られたのかは分からないが、流石に幼子をそんな形で持ち上げてはいけないであろう。
ぷらんぷらんしているチェカを受け取り、安定感が増すように抱っこをすれば、嬉しそうにはしゃぐ声が聞こえてきた。
｢おねーたん、ひさしぶり！ 元気だった？｣
｢えぇ、元気でしたよ。チェカさんもお元気そうで何よりです。……それで、貴方はどうしてナイトレイブンカレッジにいらっしゃるのでしょうか｣
｢おじたんとおねーたんに会いたくて来ちゃった！｣
Aがレオナに視線向けると、彼はふいっと顔を逸らしながら事の顛末を話し始めた。
何故チェカに此処へ行くことの許可を出したのか、とファレナに怒鳴りながら尋ねたらしいのだが、見事に子煩悩を発揮してくれたらしい。
連れ戻しに来る気は皆無、だからといって送り返すことも不可能、それ故にレオナは一日だけ世話をすることに決めたのだ。
｢ラギーとジャックは巻き込めた。後はお前だけだ｣
｢おねーたんも一緒に遊べるの？｣
きらっきらの真ん丸な瞳に見つめられ、邪気のない笑みを向けられれば頷かざるを得ないだろう。
こくりと一つ頷けば、首にはチェカの腕が、腕には尻尾を巻き付けられて、きゅっと抱きつかれる。
その体勢のままサバナクローのレオナの部屋へと向かっていると、周囲の他寮生から凄まじいものを見る目で見られる結果となった。
｢僕ね、ご本読んでほしいの｣
｢どのような本でしょうか｣
｢ねずみさんがパンケーキ作るやつ！｣
｢では、レオナさんに読んで頂きましょうか｣
｢おいコラ、俺を売るんじゃねぇよ｣
｢……貴方は多少なりとも妥協して手伝いなさいな｣
レオナの部屋の中にはジャックとラギーが既に待機しており、Aを迎えに行った彼が戻ってくるまで課題をしていたようだ。
｢お、来たっスね｣
｢ようA、昨日ぶりだな｣
｢どうも。さてレオナさん、読書の時間ですよ｣
｢……ハイハイ｣
Aの腕の中にいるチェカを摘み上げたレオナは、そのまま勢いよくベッドへと腰掛け、床に散らばっていた絵本を手に取る。
まさか"あの"レオナが読み聞かせをするのか、と口を開いたまま固まっているラギーに向けて、Aは静かに頷きを返した。
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神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
