Request：ねことみるく ページ15
頭にはぴるるっと動く猫耳、腰元にはゆらゆらと揺れる尻尾。
一体全体何なのだコレはと怒鳴りつけたくなった衝動を、Aは何とか腹の中に抑え込んだのであった。
｢Aちゃん可愛いねぇ♡｣
｢このまま飼ってしまいましょうか｣
嬉しそうに笑っている双子のウツボに対して、Aは生えている尻尾をバタバタと激しく振ることで怒りの感情を示す。
こうなった経緯は簡単だ。
フロイドに抱きつかれる形で拘束されたと思いきや、魔法薬学の授業で作った変身薬をぶっかけられたのである。
何か薬品をかけられそうになっている、と察知したAは身を捩り、彼の腕から抜け出すことには成功したのだが、数滴の薬品が腕にかかってしまった。
その結果、Aの体には猫耳と尻尾が生えてしまったということなのだ。
｢Aさん、会えて良かった。少し質問したいこと、が――はァ！？｣
｢あ、アズールじゃん。見て見てぇ、Aちゃんが猫ちゃんになったんだよ｣
｢やはりAさんに使って正解でしたね｣
｢効果を確かめたいのならば御自分の体にして下さい。何故、私に態々変身薬を使用したのですか｣
｢可愛いAちゃんを見たかったからに決まってんじゃん？｣
｢ああ、勘違いなさらないで下さいね。Aさんは何時でも綺麗で可愛らしいのですよ。けれど、もっともっと可愛らしくなった貴女を見たかったのです｣
深くて長い溜息を吐き出すことで、Aが何とか怒りを抑え込んでいるのを見抜いたアズールは頭を抱えたくなった。
普段から突拍子もないことをし始めたり、思いついたりする双子ではあるが、まさかAに対して行動に移すとは思いも寄らなかったのである。
フロイドに至っては常日頃、あれ程までにAに嫌われることを恐れているというのに、何故ここで思い切ったのかが甚だ理解出来なかった。
｢Aさん｣
｢何でしょうか、アズールさん｣
｢誠に申し訳ございません……｣
｢貴方は悪くないでしょう。謝罪の必要はありませんよ｣
苦労人二人は揃って溜息をつき、この猫耳と尻尾をどうしようかと頭を悩ませ始める。
これ以上、周囲の目に触れさせておくわけにはいかない、と考えたアズールの提案によって、Aはアズールの部屋へと移動することとなった。
｢｢はぁ……｣｣
｢あははっ、何か疲れてんね？｣
｢お前達のせいだぞフロイドォォ！！｣
｢どうぞ、キャラメルミルクティーです。熱いので気を付けて下さいね｣
何とも呑気な双子である。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1934人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
