3 ページ23
オクタヴィネルの三人が揃っており、尚且つ全員が悪い意味ではなく楽しそうにしている相手などAしか存在しない。
引き寄せられる様にして何時もの面々が集まってきたことにより、更に周囲の女性達からの妬みと嫉みの視線がキツく変化した。
｢何処の世界も、馬鹿な女は異性が絡むと七面倒臭いですねぇ｣
｢ややっ、やっぱり凄く睨まれてるよね！？ ああああ、だからこんな所は嫌いなんだ……っ！｣
己の顔面偏差値の高さを理解しろ、こういう場で激しいスキンシップを取るんじゃない。
叱りたい気持ちを飲み下しつつ、ふーっと長い溜息を吐き出してから、Aは自身の横で女性に怯えているイデアを宥め始めた。
些か繊細過ぎる気もするが、彼が舞踏会の参加を受け入れているだけでも頑張った方なのだろう。
そんな中、周りを囲むようにして立っているユウ達が目を見開き、ぽかーんと口を開いたまま固まっていることに気が付いた。
きょとんと首を傾げれば、ユウがうろうろと視線を彷徨わせながら恐る恐る口を開く。
｢Aちゃんって馬鹿な女、とか言うんだね……？｣
｢普通に言いますよ。現に馬鹿でしょう、人様の迷惑を考えられずに配慮も出来ないのですから｣
｢A礼儀を重んじる女性だからのう。余計にあの様な令嬢が好かないんじゃろうな｣
｢本音を申して良いのならば、イソギンチャク騒動の時のエースさんとデュースさんは、見ている分には愉快でした｣
｢｢グゥっ……！！｣｣
そんなこんなで他愛もない話をしていたところ、コツコツと靴音を響かせながらクルーウェルがやって来た。
しかし、一曲目の流れる時間には幾分か早過ぎる。
何用か分からないまま腕を引かれ、連れて行かれた先は各校の教師陣が集合している場所であった。
ナイトレイブンカレッジのライバル校であるロイヤルソードアカデミーや、女性の魔法士を育成する女子校など様々である。
｢クロウリー殿、クルーウェル殿、これは一体何事でしょうか｣
｢皆さんが、"是非ともAさんに会いたい"と申されましてねぇ。順に紹介していきましょう。まず彼は――｣
各校関係者を紹介され、その度に握手を求められたAの内心はささくれ立っていた。
初対面にも関わらず、全身を舐め回すように見つめられ、更には価値を見定めようとされれば、流石に誰でも腹が立つだろう。
何とも無礼で不躾で、図々しく無遠慮なのか。
Aが立ち去ろうとしたその時、咄嗟にクルーウェルが彼女を背に隠した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1934人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
