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因みにレオナとラギーは昨日のようにAを甘やかそうと思って来ただけらしい。
「オレらはAにスイーツ食べさそうと思って来ただけなんで、ハーツラビュルのお茶会に参加させてもらうっスね〜」
トレイの菓子作りを手伝うことを条件にスイーツパーティに参加することが決定した途端、二人はそそくさと寮へと戻っていった。
後は海底遠足へ行くかどうかだが、A的にはあまり乗り気ではないようで、マカロンを頬張りながら無言を貫いている。
Aの深みが違う碧眼と、フロイドのオッドアイがじーっとひたすら睨み合いを続けていたが、結局Aが折れることで話が纏まった。
「やったぁ〜!」
「……はぁ」
「あ、あの、Aちゃんはあんまり乗り気じゃない?」
「いえ、そういうことではないのでご安心を。少し別の案件を思い出していただけなので」
元の世界に戻ったら体験出来ないことなので、どうせならば体験しておいて損は無いだろう、と楽観的に捉えることでAは遠足に参加することに決めたのである。
普段着として着物を着用しているが、濡れないように魔法をかけるのならば着物のままで問題ない。
(※着方はお茶会の時を参考)
スリッパからぽっくり下駄に履き替えてから寮の玄関に向かうと、上機嫌な双子に両側から挟まれて片手ずつ繋がれた。
「出発進行〜!」
「ふふふ、行きましょうか」
***
アトランティカ記念博物館にて。
博物館内中央にはプリンセス・アリエルの父であるトリトン王の銅像が設置されており、その周りには所狭しと展示品が飾られていた。
知的好奇心旺盛なAからすれば魅惑的な空間である。
後ろから抱きついてくるフロイドのことなど気にも留めず、彼女はふらふらと目につく品に近寄っては鑑賞を繰り返していた。
「あっちに人魚姫の銀の髪梳きとか展示してあるよ。Aちゃん行く?」
「はい」
「Aが行くならオレも行く〜。つか、さっきパンフで見たけど、あれってどう見ても櫛じゃなくてフォークじゃね?」
「ふふふ……陸の人間にはそう見えるかもしれませんね」
「Aさん、後でお時間頂けますか?」
「おや、アズールさん。構いませんよ」
「ありがとうございます。僕は今から写真を返してきますので」
「僕が見張ってるから安心してね」
後から聞いた話だが、どうやら彼、自分の写っている部分を加工したものを戻そうと目論んでいたらしい。
胸を張って言い切ったユウに、アズールは居心地悪そうに苦笑を零した。
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ゆるり(プロフ) - ミニ林檎さん» お褒めの言葉、ありがとうございます!承りました。順番に書いていますので、少々お時間頂きますね。 (2020年4月23日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
ミニ林檎 - 素敵な、ストーリーですね。リクエストしたいのですが閣僚の皆んなから追いかけられる話が見たいです。 (2020年4月23日 20時) (レス) id: a0bbb5bb79 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - **さん» こちらこそ、素敵なリクエストありがとうございました!楽しく書かせて頂きました〜! (2020年4月23日 13時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
**(プロフ) - ポムフィオーレのみなさんの美を追求する姿勢は夢主ちゃんにとっても居心地がいいものなのかなあと、ほっこりしました…!想像するだけで幸せになれる素敵なひとときをありがとうございました (2020年4月23日 11時) (レス) id: dd9fb51a76 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 月兎さん» わ〜!!そんなことを言って貰えて光栄です!リクエスト承りました。順番に書いていますので、少々お時間頂きますね。 (2020年4月23日 0時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆるり | 作成日時:2020年4月17日 0時