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何故かラギーに手を握られ、半ば強制的に付き合わされているAは随分と嘘臭い演技だと呆れていた。
彼は素直に従っているように見せているものの、反骨精神は隠しきれていないし、何よりレオナのことを簡単に裏切るような性格はしていないだろう。
それを踏まえれば簡単に導き出されるというのに、彼らはラギーについて知らなさ過ぎたのだ。
｢あれれ〜？ リドルくん、マジカルペンなしにそんなに強い魔法を使って大丈夫っスか？｣
｢えっ？ ……あ、あれ！？ ボクのマジカルペンがない！｣
｢オイ、ケイト！ オマエのマジカルペンもねぇんだゾ！？｣
｢うそっ！ マジで！？｣
流石ハイエナ、手癖の悪さは折り紙つきだ。
｢シシシッ！ アンタら、さてはお坊ちゃん育ちッスね？ 懐ガラガラ、隙ありすぎ。楽勝で盗れちゃったっス｣
｢ふな"っ！？ アイツ、何時の間に魔法を使って二人のマジカルペンを盗んだんだ！？｣
｢嫌っスねぇ。こんなの、魔法使わなくたって余裕っスよ！ Aが見えてたのに、アンタら見えなかったんスね｣
バッと視線が集中して、Aはほんの少しの居心地悪さを感じて溜息を吐き出す。
Aは元来、五感が途轍もなく鋭いのだ。
ラギーがAの手を握っている反対の手でマジカルペンを掠め取っていたのも見えていたし、何ならスリをしようと目論んでいたのも御見通しであった。
｢ってわけで、こんなところでボコボコにされちゃ堪んないんで、退散させてもらうっス！ ばいばーい♪｣
｢コラー！ 待つんだゾ〜〜！！｣
スタコラサッサ。
二人のマジカルペンを持ったまま、ラギーはAの手を引いて一目散に駆け出した。
というか何故自分も道連れにされたのか理解が出来ずに、彼女はなされるがままにラギーと並走している。
｢Aって足速いんスね｣
｢生きる環境が環境でしょうに｣
後ろからリドルの怒声と、巻き込まれたエーデュースが追いかける足音が聞こえてくる。
Aは勿論のことだが、ラギーにもその声と音は聞こえており、二人は地面を蹴って一気に加速した。
風を切り、髪を靡かせ、壁を伝い、学園内の高低差や入り組んだ部分を最大限に利用してぐんぐん彼らを引き離していく。
だだっ広い荒野を駆け抜けるのではない為、Aからすれば至極簡単な逃亡劇だ。
｢シシシッ！ アイツらめちゃくちゃ遅いっスねぇ！｣
｢一般人ならこの程度で及第点では｣
｢オレも一般人スよ？｣
｢そうなのですか？｣
場に似合わず平和な会話であった。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
