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マジフト場にグリム達の荒い息が吐き出される。
｢ひぃ、はぁ……｣
｢はぁ、はぁ……うっそだろ……一点も入れらんねー｣
｢何て隙のないフォーメーションだ……｣
｢はぁ……レオナくん、昔から天才司令塔って言われてただけあるね。ちょっとこのメンツじゃ太刀打ちできねーわ……っ｣
Aとケイトで必至にサポートしたものの、洗練されたサバナクローのフォーメーションを完全に崩すことなど出来なかったのだ。
こちら側のチームで唯一平然としているのは彼女だけで、ゆったりとした動作で箒から地面に降りている。
レオナは彼らをにやにやと不敵な笑みを浮かべながら、くいくいっと手を曲げて挑発を繰り返していた。
｢おら、どうしたァ？ もう終わりか？｣
｢シシシッ！ さっきの威勢の良さはどうしたんスか？ A以外バテバテになってるッスね｣
｢ほら、立てよ草食動物共。もうワンゲームといこうぜ｣
膝を突き、もう呼吸するのすらしんどそうなエース達を見下ろして再戦を申し込むレオナ。
流石にこれはやり過ぎだと感じたAが彼を宥めようとしたその時、観覧席から慌てて降りてきたユウが叫んだ。
｢こんなの暴力と同じだ！！｣
そんな言葉がレオナに届くわけもない。
今にも泣きそうなユウの腕を引き、後ろへと下がらせてからAは彼らに歩み寄った。
彼女はずっと、"縄張りを踏み荒らした"自分達への仕返しだけではないような気がして仕方がなかったのだが、マジフトで対面して漸く理解出来たのである。
これは、レオナの私情も含まれたものだと。
ユウ達から気を反らせつつ、その真偽を確かめようとした時、何者かによって体を強く後ろに引かれた。
ふわりと香ったのは同じクラスの彼の香り。
｢何してんスか、あんたら｣
地を這うような低音の声に、釣り上げられた双眸。
表情に怒りを滲ませたジャックがレオナ達を睨みつけていた。
それでいようとも、レオナは取り乱すことなくジャックを睨み返す。
｢ん？ 縄張りに踏み込んできた奴らとちょっと遊んでやってるだけだろ｣
｢初心者いたぶって何が楽しいんスか。それにAまで巻き込んで……！｣
｢なーにぃ？ ジャックくん、正義のヒーローみたいでカッコいいッスねぇ。シシシッ！ あ、Aには手ぇ出してないっスよ｣
｢俺はただ、みっともなくて見てられねぇって言ってるだけっす｣
｢……はっ、しらけること言うぜ｣
これ以上は駄目だ、と悟ったAはジャックの腕を引っ張って二人を遠ざけた。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
