百獣の王とやすらぎ ページ23
食事を必要不可欠なものだと認識していないAは、よく昼食をとらずに植物園で何をするでもなく過ごしていることが度々あった。
どうやらレオナは彼女独特の香水とは異なる甘い香りを気に入ったらしく、植物園に彼女が来る度に捕獲し、昼寝のお供にさせているのだ。
そして今回も同様に、Aの膝にはレオナの頭がちゃっかり乗っかっていた。
｢すー……｣
穏やかな寝息が彼の口から漏れ、柔らかな手触りの長い髪が太腿をふわふわと撫でる。
別に膝枕することは構わないのだが、いきなり抱き上げては柔らかい場所に座らせ、勝手にゴロンと寝転がるのはやめて頂きたいものだ。
せめて一言断りを入れてからにして欲しい。
そんな普通の願いすら叶わずに、Aは諦めてチョコチップマフィンを一口頬張った。
植物園に行く度に捕獲されるので、たまに昼食をとろうと思っても動けないので食べ逃してしまう。
それからずっと、トートバッグにクルーウェルから贈られたブランケットとポーチ、自分で作ったスイーツを入れて持ち歩くようにしているのだ。
体操服や教材を一緒に入れて持ち歩くことが出来るので意外と便利だったりもする。
｢レオナさーん、昼飯買ってきたっスよ〜｣
すると、植物園の入口のある方向から誰かがレオナのことを呼んだ。
その声に反応して、Aの太腿を枕にしていた彼はゆっくりと瞼を開けていく。
｢グルル……ん、もう昼か｣
｢こんな所にい――え、アンタ誰っスか！？｣
｢どうも。……レオナさん、お知り合いの方が来ましたので起きて下さい｣
｢メシはこのままでも食える｣
｢私が食べにくいのでやめて頂きたいです。寝転がりながら食べるのは行儀が悪いです。はい、起きて起きて｣
ポムフィオーレ寮がセコム化し始めてるだの、
様々な噂が立っている特待生とレオナが何故か一緒にいて、更には膝枕を強要されている状況に青年は混乱していた。
一体全体どういう関係なのだろうか。
｢えーっと、アンタは噂の特待生ッスよね？｣
｢噂は知りませんが特待生です。お初にお目にかかります、名をA・Aと申します｣
｢ご丁寧にどうもっス。オレはラギー・ブッチ、サバナクローの二年生っス｣
思っていたよりも関わりやすそうな相手だと分かり、ラギーは内心ほっとした。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
