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会場内に入ると、リドルが少しだけ緊張した様子でエースに何かを手渡したところであった。
ケイトに横抱きされた体勢で現れたのはAに誰もが驚いており、特にリドルが大袈裟なレベルで肩を跳ねさせている。
｢どうも皆様、此度はお招きありがとうございます｣
ケイトに地面に降ろしてもらうと、Aは姿勢と服装を直してから会釈と共に何とも丁寧な挨拶を口にした。
｢よく来たね、A｣
｢グリムさんからお誘い頂けたので……というか、リドルさん達がグリムさんに誘うように指示されたのでしょうに｣
｢はは……｣
Aの鋭い観察眼と、人並外れた思考回路には恐れ入るものがある。
リドルとトレイは彼女に考えを読み当てられたことで気まずそうに手を頻りに動かし、視線をうろうろと泳がせていた。
最初に行動したのはリドル。
彼女の前へと進み出て、真っ向から美しい碧眼を見つめたまま、その場で勢いよく頭を下げたのだ。
彼に続いてトレイも横で頭を下げる。
｢ごめんなさいっ！！｣
｢すまなかった！｣
｢……….はて？｣
Aは口元を手で隠しながら、不思議そうに二人を見下ろして首を傾げた。
彼女からすれば、何をそんなに必死に謝罪されているのかが意味不明で仕方が無いのである。
リドルがAの注意を聞き入れなかったことも、オーバーブロットしたことも、トレイに頬を叩かれたことも。
彼女にとったら些細で気にもならないこと、つまりは謝罪されるような内容ではないのだ。
今のところ、一番Aと深く関わっているケイトだけが何となく心情を察すことが出来て、さり気なくフォローを入れにいく。
｢リドルくんはAちゃんに迷惑かけちゃったって気にしててね。トレイくんは頬っぺ叩いちゃったでしょ？ ずーっと、二人は気にしてたんだよ｣
｢はぁ、成程。……どうでもよいことで悩んでたのですね、貴方達｣
｢どっ、どうでもいいって！！｣
｢俺はお前のことを叩いたんだぞ！？｣
戦国時代で生きてきたのだから、叩く蹴る、更には殴るや斬られるだなんて普通のことだ。
それに意見を聞き入れて貰えないことなどよく見る光景であるし、それによって破滅の道を辿る者も多々居る。
Aとしては、リドルが改心したことによって破滅しなくて良かった、程度にしか感じていなかったのだ。
そのことを端的に伝えると、リドルとトレイは呆気に取られてその場にしゃがみ込んでしまった。
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レイ - とても面白くていつも見させて頂いています！更新楽しみにしてるので頑張って下さい！ (2020年4月12日 14時) (
レス) id: 906bb64cc1 (このIDを非表示/違反報告)
MaO(プロフ) - 何度も読み返す程、とても面白いです！いつも素敵な作品をありがとうございます！ (2020年4月10日 12時) (レス) id: 3dee49fcd0 (このIDを非表示/違反報告)
最初は、ぱー(プロフ) - 面白すぎて、イッキに読んでしまった…………。ゆるりさん無理のない程度に更新頑張ってください！ (2020年4月10日 3時) (レス) id: 9e43d059be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月9日 13時
