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vil side
｢気に入らないわ｣
｢はい？｣
そう、気に入らな過ぎるのよ。
退学になるかもしれないのに平然としているAにも勿論いらっとするわ、けど、アタシが本当に怒っている相手は彼女じゃない。
目の前で変な声を出しているアンタよ、学園長。
｢魔力を持たないユウは、あの狸のおかげで学園にいれるのに、どうして"今はまだ"霊力を使えないAが退学になるのかしら？｣
｢で、ですがね、一年生は魔法を使う科目が少ないとはいえ困り事が多くなるでしょう｣
｢アラ、Aがすぐに霊力を使えるようになるとは考えないのかしら？ 闇の鏡はAのことを宝石そのものだと評価したわ。つまりは、Aには誰もが予想出来ない力があるってことよ｣
退学だなんて許さないわ。
こんなにも綺麗で、可憐で、華奢で、才能豊かな淑女なのに扱いがあんまりよ。
誰だって最初は上手く魔法を使えない、けど努力するからこそ我が物にするの。
輝くと分かっている宝石の原石を、磨かずに捨てるだなんて有り得ないわ。
｢では、もしもAさんが霊力も魔法も使えないままでいた場合、キミはどうするつもりですか？｣
勝ち誇ったように言うけれど、そんな質問は想定内もいいものだわ。
この質問の答えは決まっているのよ。
｢アタシが責任を取るわ｣
｢はい！？｣
｢貴方、何を……無責任なことを仰るのはお止めなさい｣
｢いいえ、止めないわ。アンタは磨けば磨く程に輝く原石なの。分かるかしら？ それをアタシに捨てろだなんて酷いこと言わないでくださる？｣
折角ポムフィオーレ寮に入ることになったのに、そう易々と手放してたまるものですか。
アタシが強く反対していることに対して困惑しているようだけど、アタシは絶対にAを見捨てたりはしないわ。
だって、こんなにも磨きがいのある原石なんだもの……Aを磨いたらどうなるのかしら。
ヴァイオレットモルガナイトかしら、それともスピネルかしら。
アタシが絶対に折れないことを理解したのか、Aの退学の話は完全に無になったわ。
｢無茶をする殿方ですね、貴方｣
｢そんなことないわよ。言ってしまえば、さっきのはアタシのエゴだもの｣
隣に並んで歩いているAから薫る、ふんわりと甘くて優しい香りが鼻腔を掠めたの。
香水じゃない自然な甘さ、今までの女達からはキツい香水が匂っていたから変な感じするわ。
でも嫌いじゃないの……出来れば、ずっと傍にあれば良いと思う位には、ね。
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にゃーちゃん - とても面白いです！これからも頑張ってください！ (2021年5月16日 20時) (
レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです！面白いです！！ (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです！マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください！！ (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年4月2日 1時
