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鈍い音を立てながら、怪物は体勢を崩して後ろへとよろめく。


「脆弱な……」

「いやいやいや!? 何してるの!?」

「怒らせると言ったでしょうに。取り敢えず物理攻撃を仕掛けておけば、ほら」


「ヌオオオオオオオオ!!」


激昂した怪物が途轍もない速さで追いかけてくるのを、Aはバックステップで余裕そうに目的の場所へと誘導していた。
ユウとグリムは必死である、半分泣きそうだ。
カンカンカンっ、とツルハシと鉄パイプが弾きあう音が聞こえてきて、彼女があの怪物の攻撃を全て振り払っていることに驚愕しか出来ない。


「だいぶ洞窟から離したんだゾ!」

「今だっ!」

「オッケー、お任せ! いくぜ、特大旋風!」


エースの風とグリムの炎が融合し、巨大な炎の竜巻が怪物を襲った。
それが怯んだ隙に、デュースが大釜を召喚して上から落としてぺちゃんこにする。


「バケモノがさっきのエースみたいに大釜に押し潰されて、ペッタンコになってるんだゾ!」

「さっきのオレみたいってのは余計だっつの! ったく、今日はマジで良いとこナシじゃん」

「あいつが足止めをくらってるうちに、魔法石を取りに行くぞ!」


「では、私は此処で見張りを」


ダッと駆け出した四人を見送り、Aは必死に大釜の下から這い出ようとしている怪物に視線を向けた。
何故そこまで必死になるのだろうか、そこまで魔法石が大事であるならば掘り起こさせなければよかったものを。
そんな疑問を抱きながらも、彼女の疑問に対する答えを口にする筈もない。
ただ呻くだけの怪物に、Aは何故だか虚しさを感じてしまい、ゆっくりと瞼を下ろした。


「A! 魔法石は見つけたぞ、逃げろ!」


デュースに呼び掛けられ、彼女は頷きを返すと彼らに続いて足を動かした。
大釜が三つも四つも乗せられているにも関わらず、怪物は追いかけることを諦めない。
藻掻いているそれの横を通り過ぎる時、Aはたった一言呟いた。


「……恨むのならば、力のない己を恨みなさい」




***



しかし、そう簡単に怪物が諦めるわけもなかった。
大釜を全て退かし、全速力で追いかけてきた怪物に彼女達は向かい合う。


「でも大分弱ってる! 今なら……!」

「あーっ、もぉ! やったろーじゃん! チビんじゃねーぞ、真面目クン!」

「お前こそ!」

「オレ様の真の力、見せてやるんだゾ!」


「はぁ……。」


Aも彼らに倣い、鉄パイプを逆手に構えた。

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にゃーちゃん - とても面白いです!これからも頑張ってください! (2021年5月16日 20時) (レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです!面白いです!! (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです!マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください!! (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆるり | 作成日時:2020年4月2日 1時

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