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そうして逃げ込んだ先の図書室で、Aは顔をベネチアンマスクの様な仮面で隠している"学園長"と名乗る男性と出会った。
グリムもグリムで好戦的過ぎるが、彼も彼で話を聞かな過ぎる所があるだろう。
腕を掴まれ、強引に何処かへと連れて行かれることに不快感を抱きながらも、元の世界へと戻る為には大人しく従う他無い。
そう、此処はどうやら、Aが生活していた世界とは全く異なる場所であるようだ。
彼女が生活していたのは日本、それも平成時代ではなく戦国時代の並行世界。
そもそも論だが、そんな世界に魔法など存在しないし、火を噴く猫など生きているわけもない。
元の世界に帰る為に、Aはナイトレイブンカレッジの学園長ディア・クロウリーに促されるままに沢山の棺桶が浮かぶ部屋へと足を踏み入れたのであった。
「……ほんに異なる世界、ですね」
「ん? 今何か言いました?」
「いえ、特には」
ぽそりと呟いた言葉に反応されたが、本当に異世界へと来てしまったという事実確認をする為の言葉であったのでAは首を緩く振った。
クロウリーとしても大切なことではないと判断したのか、一つ頷くと生徒達に視線を向ける。
「さて、皆さん。彼女は特待生です。今年から女子生徒を受け入れてみようと試みたとは説明しましたね?」
クロウリーの独特な声が部屋に響くと、一斉に彼らからAに視線が送られた。
ザワザワと騒がしくなり、誰も彼もが前例のない女子生徒に興味津々なようである。
フードを被った男性四人からは特にぎらついた瞳で見られ、Aは居心地悪さを感じて溜息を一つ吐き出した。
自分の見た目が注目を集めやすいことなど知っているが、ここまで開けっぴろげにされると良い気持ちになる筈もないだろう。
「私はもう一人、起きてこない入学者を起こして連れてきますので、あと少しだけ此処で待っていて下さいね」
そう言ってから、再びクロウリーはこの部屋から退場していった。
残されたAは何もすることがないので、ふわりふわりと浮かんでいる黒と緑の棺桶と、見慣れないシャンデリアを見上げている。
すると、とんとんと誰かに優しく肩を叩かれた。
「初めまして、レディ。気安く触れたことは許してね。 アタシはヴィル・シェーンハイト、ポムフィオーレ寮の寮長よ」
「お初にお目にかかります。名を、AAと申します……こちらに則るのならばA・Aでしょうか」
「ふふふ、丁寧にありがと」
そう言って、彼は綺麗に笑った。
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にゃーちゃん - とても面白いです!これからも頑張ってください! (2021年5月16日 20時) (レス) id: 6c3b400c86 (このIDを非表示/違反報告)
しおあめ。(プロフ) - 突然のコメント失礼します。フロイドが主人公につけたあだ名の"クリオネ"は、すでにオルトを指すものとして使用されていたと思います。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: e70718cc0c (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - はぁーー好みです!面白いです!! (2020年5月30日 16時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
蝶妃 - 夢主ちゃんとキャラの絡みが見ていて面白いです!マレウス様やリリア様ともっと絡んで欲しいですね。これからも頑張ってください!! (2020年4月8日 7時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 初めまして、読んでいて楽しい作品ですね、主人公のキャラも結構好きです。勿論ゆるりさんのペースで更新頑張ってください (2020年4月7日 22時) (レス) id: 008426968d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆるり | 作成日時:2020年4月2日 1時