高校の王子様！！

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＜顕嵐side>

安井くんが俺らに宣戦布告してきた
俺と神宮寺が先送りにし続けてきたことに正面から切り込まれた感じ
……正直、安井くんだけは敵にしたくなかったんだけどな
だって、年上で頭良くて優しいとか…強敵すぎ……

勇太「…なあ、顕嵐」
顕嵐「んー？」
勇太「……俺らもさ、そろそろ本気になってもいいんじゃねーか？」

まっすぐ前を見たまま神宮寺は言った
…そっか、もう仲良しごっこしてる時間は終わったんだ

顕嵐「うん……いいよ、俺も本気で行くから」

俺の言葉を聞いて神宮寺はニヤッと笑った

勇太「そう来なくっちゃな」

それが、その言葉が、神宮寺なりの宣戦布告だったんだろうな

勿論俺も、本気だよ



A「２人も早くー！」

いつの間にか俺らのずっと前にいたAが呼んでいた
……安井くんもちゃっかり合流してるし

勇太「…行きますか」
顕嵐「…おう」

神宮寺はすっげーいい笑顔をしてた
俺も、そんな風に見えてるのかもね

A「歩くの遅すぎでしょ」
勇太「何ー？A、俺がいなくて寂しかったのー？」
A「私っていうより玄樹がかな」

いつも通りのやり取りで、ちょっと安心した

謙太郎「…お前ら、何の話してたの？」

安井くんが俺にだけ聞こえる声で話しかけてきた

顕嵐「いや……
俺らも本気になる頃かもね、ってことです」
謙太郎「……そっか」

俺の言葉を聞いて、安井くんは少し笑った

謙太郎「頑張ろうな、お互い」

それだけ言うと、じゃあ俺こっちだからー！なんて手を振って別方向へと歩き出した
……イケメンすぎるでしょ



それから宮近と玄樹と岸くんもそれぞれ別れて、俺とAと神宮寺の３人になった

A「何か３人だと落ち着くねー」
勇太「まあ、イツメンみたいなもんだもんなー」

Aが見せた笑顔が安心しきったものだったから、俺も何となく心が緩んだ

顕嵐「もう10年くらい３人でいるからねー」
勇太「10年か……早いな」
A「ねー！
これからもずーっと、こんな感じの３人だったらいいねー」

Aの言葉に俺と神宮寺は思わず顔を見合わせた
Aは関係性の変わらないこの３人での時間が好きなんだなって思って

勇太「……そうだな」
顕嵐「……うん」

A「これからも、よろしくね
なんて、改まっちゃって変だけど。私、２人のこと、大好きだから」

ごめん、安井くん
明日から、頑張るから。俺も神宮寺も本気出すから
せめて今日だけ、今この時間だけは、義兄の立場でいさせてほしいんだ

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