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アンカーを差す。
立体機動で移動しながら
巨人のうなぎを削ぎ落としていく。
その行動に意味はない。
エレンはもういない。
私の大切な人は、もういない。
アルミンの告白を聞いた瞬間
私はまた移動をはじめた。
あそこに
これ以上いる必要性はないと感じたから。
どこを目指しているのだろう。
なんのために生きているのだろう。
もうこれ以上生き続ける意味なんてないのに。
ガスが残り少ない。
刃だってこの一本が最後だ。
プシュ、と頼りない音が響き
私はそのまま屋根の上に落ちた。
腹を強く打ち、吐き気が込み上げてきた。
思わずうずくまる。
もう、起き上がったとしても
どうすることも出来ない。
ガスは尽きた。移動は出来ない。
目と鼻の先に補給所はあるが
巨人が群がっている。
ガスがあったとしても
あそこに突っ込むのは無謀だろう。
私もここで死ぬ。
.
どれくらいそうしていただろう。
ほんの一瞬だったような気もするし
30分はそうしていたような気もする。
少しずつ鮮明になる視界。でも色はない。
叫び声が聞こえる。
吐き出してしまいたくなるような血の匂いがする。
巨人の足音が聞こえる。
あぁ、このまま死ぬんだ。
人生が楽しくなかった、わけではない。
むしろ楽しかった。
エレンに出会えた。
ううん。エレンだけじゃない。
ミカサやアルミンにも出会えた。
それだけで、もう十分だ。
これは、きっと私が求めすぎた代償なのだ。
そっと目をつぶる。
巨人がすぐそこまで迫っているのが気配でわかった。
いい人生だった。
「 A 」
「 っ！！ 」
脳内で私を呼ぶ声が聞こえた。
その瞬間、体が動き出す。
巨人の指を切った。
屋根の上の方まで移動する。
どうして？
死ぬ覚悟はできていたはずなのに。
また巨人が手を伸ばすがここまでは届かないようだ。
このまま死んでもいいと思っていた。
なのに、名前を呼ばれたような気がして。
戦わなければいけないような気がして。
咄嗟に体が動いた。
「 A 」
また、聞こえた。
血が疼く。
巨人に対する怒りが湧いてくる。
「 巨人を殺さなきゃ。
こんなところで死んじゃだめ。
いつか ── を見にいくんでしょう？ 」
脳内で声がする度に刃を握る力が強くなる。
戦え。
そう信号が出る。力を込める。
「 A！！ 」
ありったけの力を込めて刃を振り上げた。
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ガール - 最高過ぎます！ (2018年9月16日 19時) (
レス) id: 9eb3ea7897 (このIDを非表示/違反報告)
?.ﾟ織姫のゆーな(プロフ) - 雨屋まほろさん» わわ、コメントありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです…。声が聞こえてナイフを手に取るシーンは前々から書いてみたいなと思っていまして、そんな細かいところまできちんと読んでくださるなんて励みになります。本当にありがとうございます！ (2018年7月26日 11時) (レス) id: caa1caa173 (このIDを非表示/違反報告)
雨屋まほろ(プロフ) - 進撃の夢小説でこんなにも心をうたれたのは久しぶりです。気の利いたコメントはあまり書けないので一言で言わせていただきますと、めちゃくちゃ面白いです……声が聞こえてきてナイフ手に取るシーンがとてつもなくよきです…… (2018年7月25日 22時) (レス) id: 83522f25c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：?.ﾟ織姫のゆーな | 作成日時：2018年7月25日 0時
