20th ページ22
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私はあの子 ─── アニのことが好きだった。
いつも冷静で、少し感情表現に乏しいところがあって
でも、どこか放っておけない彼女が好きだった。
アニが私をどう思っていたかは分からないが
特段嫌がられてはいなかった、と思う。
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立体機動で巨人のうなじを削ぐ訓練をしていたとき。
その日も私はやる気なんてちっとも出なくって
いつも通り適度に体を動かしながら
教官の目を盗んでは木の幹に寄りかかって休んでいた。
そのとき、視界の端でなにかがきらめく。
視線を向けると地面できらきらと光る物体。
何故だか興味を惹かれ、地面に降りる。
手に取ってみると、それは光る石だった。
あまりに綺麗でまじまじと石を見ていると
角度によって色が変わることに気づく。
「 きれい… 」
思わず声に出してしまうほど
ころころと色を変える様は本当に綺麗だった。
そのときふと
これをアニにあげたら喜んでくれるんじゃないか
という考えが頭をよぎる。
こんなに綺麗な石だ。
いつもは全然笑ってくれないアニだけど
これを見たら少しは笑ってくれるんじゃないか。
そう思い、私はその石をポケットにしまうと
アニの元へ向かった。
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「 石？ 」
アニの微妙な表情の変化から察するに
私のプレゼントはあまり気に召さなかったようだ。
「 角度で色が変わるの。
…きれいでしょ？ 」
アニは石をころころと手のひらで転がし、
私の方をちらりと見る。
「 まあ、もらっておくよ 」
そう言ってアニは石をポケットにしまう。
アニは基本的に冷たいが、
情に厚いところがあると私は思っている。
面倒くさそうな素振りを見せながら
なんだかんだ最後まで付き合ってくれるのだ。
アニが石をポケットに入れたときに
石をぎゅっと握っていたのを私は見逃さなかった。
その動作に心が暖かくなり、私は思わず笑みをこぼす。
アニはそんな私を一瞥すると
じゃあ、という一言を残して去っていった。
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────現在
そこに落ちていたのは"それ"は
きらきらと輝く石だった。
思わず手に取り、眺める。
確信はない。
だが、その石は確かに私がアニにあげた石であった。
頭にひとつの考えがよぎり、咄嗟に打ち消す。
これは違う。何かの間違えだ。
私はそれ以上何も考えないことにし、
石を急いでポケットにねじ込むと
小走りでエレンの後を追った。
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団長の質問の真意がわかるのは
それから数日後のことだった。
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ガール - 最高過ぎます！ (2018年9月16日 19時) (
レス) id: 9eb3ea7897 (このIDを非表示/違反報告)
?.ﾟ織姫のゆーな(プロフ) - 雨屋まほろさん» わわ、コメントありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです…。声が聞こえてナイフを手に取るシーンは前々から書いてみたいなと思っていまして、そんな細かいところまできちんと読んでくださるなんて励みになります。本当にありがとうございます！ (2018年7月26日 11時) (レス) id: caa1caa173 (このIDを非表示/違反報告)
雨屋まほろ(プロフ) - 進撃の夢小説でこんなにも心をうたれたのは久しぶりです。気の利いたコメントはあまり書けないので一言で言わせていただきますと、めちゃくちゃ面白いです……声が聞こえてきてナイフ手に取るシーンがとてつもなくよきです…… (2018年7月25日 22時) (レス) id: 83522f25c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：?.ﾟ織姫のゆーな | 作成日時：2018年7月25日 0時
