1話 ページ1
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「暑い」
「そりゃあ夏だしね。あたしは寝れるようになりたい」
「えっ、え、大丈夫!?」
「冗談ジョーダン」と唯は笑う。けらけらという笑い方は、幼い頃から変わっていない。
かつて不眠症だった唯が眠いと言うと、どうしても本当に聞こえてしまう。ビビるからやめてほしい。
じりじりと真夏の太陽が私たちを焼き付ける。太陽さんや、地球への恨みを関係ない人間に向かって投げつけないでくれ。
愚痴を(心で)呟いていると、いつの間にか学校に着いていたようで。唯は、私が喋らなくて暇じゃなかっただろうか。
「サボりたいー」
「サボったら? あたしがチクってあげる」
「いややめて」
軽く唯の背中をパシッと叩く。痛い痛い、と言っているが笑っている。絶対痛くないでしょ。
そんなことを考えていると、同級生の声が聞こえてきた。
これが、風の噂というやつか?
でも、それは少し良い内容ではなかった。
「今日、転校生が来るらしいよ!」
「え、ほんとー?」
「うん。でも病んでるっぽい。ハブらね?」
「いいね」
守ってあげたい。
……そう思えなかったのは、知り合いじゃなかったからか。
それとも、自己防衛のためなのか。
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作者名:みぐ | 作成日時:2021年12月3日 20時