＊ ページ4
「……え、」
「私、貴方のことを放ったらかしにしてた」
僕の上から立ち退いてごめんなさい、と頭を下げて謝られる。
……違う、違うよ。僕が求めていたのは謝罪なんかじゃない。僕が欲しいのは、………
「……私からも、こうやってあげれば良かった」
そう言って彼女は僕を抱きしめ、軽くキスを落とした。突然の事でワケが分からない僕にイタズラっぽく笑うA。
「へ、いま、なに、を……」
「何って……キスだけど」
何を言ってんだ、とでも言うかのようにオーラを醸し出される。普段滅多に彼女からキスしないので急にされた僕はフリーズなうの状態だった。
口元を抑え、椅子の上で丸まる僕。それを不思議そうな目で見やるA。
「っ〜〜〜………」
「なーんでそんなに顔赤くしてんの」
「だ、だって…自分がやるのとやられるのじゃ大違いなんだよ」
平心を保っているように見えるが心の中じゃ「う゛れ゛し゛い゛ぃ゛ぃ゛ー！！」と某か〇や様に出てくる書記さんよろしく叫びたいが、いくらこの部屋が防音室とはいえ、夜中(と言ってもまだ9時半)に叫ぶのは近所迷惑になるからやめておこう。
「っはぁー、もう……僕、作業続けるから」
「もう今日はそこまでにしといた方が……」
「でもあとちょっとで完成するんだよ」
その時、ピロンとポケットからLINEの通知音がした。誰だろ……
『センパイ、お疲れ様でした。今日はありがとうございました。また飲みに連れてってくださいね』
相馬くんってマメだなぁ。こういう床は後輩ながら見習わないと。
「……A」
「ん？」
後ろを振り返るとギョッとした。振り向くとそこには夜叉のオーラを纏ったまふくんが仁王立ちをしていたのだ。
「女のコと飲みに行くってLINEで言ってたよね…？」
「いや、あの、これはー……」
「へぇー、相馬クンねぇ……」
スマホをバッと奪い取ると大きな音を立てて机の上に置き、私をおんぶした。
「あ、あのー…まふまふサン？」
「今日寝れると思うなよ」
「ごめんなさい悪かったから許して！！！」
「え、何？女のコと飲みに行って実は男と飲みに行ったと嘘ついて俺が許すとでも？」
「ほんとにごめんてばぁぁぁぁ！！！！」
どこかのサイトか、ツイッターか、テレビか、LINEニュースかで見た気がする。
──猫は、とっても独占欲が強いってことを。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 138人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
