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するり。彼、改め志麻くんの手が私の首に伸びて撫でられる。お酒を飲んだし汗をかくくらい走った私の体には志麻くんの指は冷たくて、
「ひゃ、」
思わず漏れてしまう可愛こぶったような、私が嫌いな声。
「ん〜、なんやご機嫌取りのつもり?可愛ええけど許さへんよ?」
そう言いながら彼は私の首を撫でる。…くすぐったいからやめて欲しい。
「…ぃ"っ!!」
左側の首元をずらされた瞬間いきなり彼に首を噛まれた。恋人同士がするような甘噛みじゃなくて、噛みちぎるような本気のやつ。
「んふ、似合うとるよ。色白いからよう映える。」
自分でつけた噛み跡を指でなぞって満足そうに笑う貴方。明日も仕事だし早く寝たいな…シャワーも浴びたい。
彼の手を下におろす。彼と向き合う。できるだけ彼を刺激しないように…
「し、まくん。」
「なァに?Aチャン」
「あの。お風呂いい、か、な。わたし明日もしご、とだから。」
すっと真顔になった彼にダメだ、やらかしたと悟った。でもそのあと貴方はまた気味が悪いほどの笑顔を浮かべて、
「そっかそっか。Aチャンは俺を怒らせたいんやね?会社も辞めたいなら自分で辞めてええのに、」
しゃあないなあ、ほんま。そう言いながら彼の手は私の首を包み込んで、そのまま力を入れた。
「ぐぅ……っ、し…ぁく」
彼の親指が私の気道だけでなく喉仏までも押し込む。咳き込みたいのに息を外に出せない。彼の手は全然取れない。視界は涙で歪んでぼやけて彼の顔も見えない。
指の先が冷たく痺れてきて、私は意識を失った。
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