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「……ん、」
窓からの日差しが眩しくて起きた。彼がベットまで運んでくれたのかな…ズキズキとした頭の痛みはお酒かはたまた違うものか。とりあえず今が何時か把握するために上体を起こしてスマホを探る。
「あ、六時。よかった間に合いそう」
大学卒業後今の会社に就職した。早いもので私も彼も29になってて。長年この時間に起きてるからかアラームなしでも起きられるようになっていた。
ささっとシャワーを浴びて出勤してしまおう。彼に気づかれてこれ以上何もされないようにこっそり行動する。
静かに、そして迅速に。朝ごはんはコンビニで済まそうと決めて、化粧をして髪をまとめる。さ、着替えなき
「…そうだ、忘れてた。どうしよ、」
噛まれたとこは服で隠れるけど。
問題は首にぼんやりとだけど赤黒く残ってる内出血のあと。
「コンシーラーで消えてくれるかな…」
手前だけやってみてなんとかなりそうだったので残りにも施す。ぐ、後ろやりにくい…
こまめに化粧直しすれば大丈夫、なはず。必要なものを入れて重くなったカバンを肩にかけてそっと自室を出て廊下を進む。物音一つしない家に少しの不安を抱きながらも時間的に悠長にはしてられないので急ぐ。
「あれっ、志麻くんの靴がない」
だから音がしなかったのか、気を使う必要なかったなあなんてお気楽に考えて会社近くのコンビニに向かう。
「…あれ、Aちゃん?珍しいね、コンビニのご飯とか食べるんや。」
「あ、センラさんおはようございます。私だってコンビニのご飯くらい食べますよ。」
後ろから声をかけられ振り向くと、営業課のセンラさんがいて。お互い買い物をして一緒に出社した。その時どこかから刺すような視線を感じたけど…センラさんのファンかな。
まだ始業時間より早いせいかほとんど人がいない。ひとり寂しくおにぎりを頬張りながら机に置いてあった書類を眺める。
…今日は、定時で帰れそうだし昨日今日で飲み会もないだろう。志麻くんの好きなハイボールとおつまみ買ってもう一回ちゃんと謝ろう。
特に変わったことも無く午前が終わり、社食にいく。うちの会社の社食は結構オシャレで、外に出る必要がない所が便利。
今の時間が一番混んでいるらしくどこも埋まってて相席するしかなさげ。...あ、ちょうどいい所に。
「すみません、センラさん。ここ空いてます?」
「ん?Aちゃん、今日はよう会うなぁ。俺と一緒で良かったらどうぞ。」
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