＊ ページ12
「今日何食べたい？」
「んー、疲れたやろうし簡単なんでええよ」
この間何作ったっけ、と献立を考え始めた横顔をちらりと見ていつも行くスーパーへと車を走らせる。
明日もお互い休み。
デートの後、当たり前に俺の家に2人で帰る習慣が嬉しい。
来月からは、何度も足を運んで選んだ新しい2人の家。
(くそ、信号1回も引っかからへんかった)
いつも入口の近くに止めるのに広い駐車場の端に車を止めると不思議そうにこっちを見ているのが分かる。
エンジンを切って助手席に手を掛けて顔を近付けた。
「さっきの１回しかしてへんから元気でーへんわ」
「え？」
助手席に掛けていた手を肩に回して唇を奪うと驚いてはいるものの抵抗は無い。
肩で結ばれたリボンに触れて零れそうになる笑みを耐えた。
ここは家ちゃうぞ、と頭の端で思いながらも微かに口紅の味がする唇を充分に味わってから離すと顔を赤くしていた。
「外なのに〜！」
「ええやん、誰も見てへんて」
何の為にこんな端に止めたと思ってんねん。
何年経っても、何度外でキスしても恥ずかしがるから可愛くてやめられない。
そうやって俺に翻弄されて照れる姿を見続けて安心してきた。
まだ可愛らしく照れて怒るAちゃんに誤魔化す様にこの服着てくれてありがとうと言うとセンラが買ってくれたからと可愛いく笑うから許してくれたんやと思う。
そもそも肌を露出させる服を着る子じゃなかったけど、心配で一緒に買い物する時は誘導するようにこういう服が似合うと言い続けて服装は俺好みになっていった。
今日も、この間似合うと思って俺が買った服。
「もうちゃんとお給料あるし、自分で買えるよ？」
学生だった彼女にお金は出させないとデートでの買い物は全部出してきた。
純粋に言ってるんやろう瞳に笑いが込み上げてくる。
「親切で服買う男なんて居らんと思うで」
どういう事？と首を傾げる姿に笑って、薬指に光る指輪を撫でてもう一度キスをした。
そんな間抜けな男がおるとしたら、騙されてるか都合のええパパくらいやろうなと心の中で笑う。
触れている肩のリボンも、さっき買った服も、どうやって脱がそうかなって考えながら脱がせやすい服を買ったのに。
俺の下心に気付かず素直にそれを着て、帰ったら俺に脱がされるこの子が好きで堪らない。
真っ白なこの子を真っ黒な俺が染めていくのは楽しいけど汚したい訳じゃない。
綺麗なまま、でも俺の色に染まって。
(一生俺のもんや)
---Possessive(独占欲)---
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