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「てか、なんかAちゃんは俺らの事吸血鬼って誤解してはるけど、なんなん?俺らただの魔族やろ」
「いやぁ、Aには理解できないだろうと思って血貰うためにひとまず吸血鬼って嘘ついてた」
いや待てそらる失礼だなお前。
さすがの私もブラックだけどそれなりの大企業に就けるくらいにはいい大学出てるし、成績も万年中の上辺りではあったけど普通に良かったわ!
なんて謎の対抗心を抱いたけれど、その前に何だか違和感を覚えた。
「……ん?待って、俺らって、なに。え……まさかセンラくんもそらると同族?!」
「そーやで。Aちゃんの血美味しそー思うて仲良ーしてたんに、まさかそらるさんの女やったとわね〜〜」
「そらるの女ではないけどね」
「いや俺の女だから」
「おいいつの間に私はお前の女になったんだよ」
呆気なく「俺人外やで」なんて満面の笑みで暴露されて、なぜ今まで気が付かなかったんだとセンラくんに対して若干の恐怖を覚えた。
しかも私と仲良くしてた理由お前も血目的かよ!!
センラくんの口元から覗いた伸びた八重歯に本当にそらると同族なのだと察し、センラくんに何故今まで黙っていたのか問いただしてやろうかと口を開いた時、何故かそれを後ろからすっと伸びてきた手で口を覆われたことによって制された。
後ろを見れば、そらるが口元に人差し指を当ててしーっとジェスチャーしている。
バタバタとした足音が部屋の前まで来て止まったかと思うと、そらるがぼそっと「”施錠せよ”」と呟いたのが聞こえた。
『ちょ、開かないんだけど!!』
『鍵だ!鍵もってこい!』
『お客様?!開けていただけますか?!』
うっわぁ大事になってるぅーー!!
これからの事を想像して青ざめていると、はぁ……と溜め息を吐いたセンラくんがこちらに近寄ってきた。思わず後退りすると、センラくんは私ではなくそらるを見つめてにっと笑った。
「そらるさん、借り1やで。彼女のこと、魔界に連れていきたい言うてたんやしいい機会やから連れてったれ」
「魔界って……はぁ?!」
「大丈夫。Aのことは一生、俺の屋敷で可愛がってあげるから」
ふっと微笑んだそらるに、冗談じゃないと冷や汗が流れたが、私が抗議する暇もなくそらるは私に「俺がAのこと飼ってあげる」なんて言って指を鳴らした。
気づけばそこはもう知らない場所で______
飼われるのは、元から私の方だったらしい。
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