【文スト】漫画みたいな･･･

23 : 時間旅行4 ページ23

昔のボスはよく笑う人だった。

私は元々孤児でボスに拾われていなかったらどうなっていたか分からない。

孤児の私をボスは優しく包み込むように愛してくれた。

家族だと言ってくれた。

あの頃のボスだったらポートマフィアと戦わせたりしない。

負け戦はしない。そんな人だった。

ボスは...

変わってしまった...



｢A！ボーッとしてっとやられるぞ！｣

ハッとした。

目の前には機関銃を携えた敵。敵。敵。

そうだ。今は戦闘中。勝つこと以外考えるな。

『私の心配してないで仕事しな！セト！』

私の首にかかっている銀のネームプレートが揺れた...



『ふぅー...此れで全員かな...？』

私とセトは息を切らしながらも敵を殲滅した。
もう体力も気力も残っていない。

セトの狐の面はヒビが入っていた。

あー早く帰ってワインを飲もう。
今日は頑張ったから何時もより良いものを開けよう。

そんなことを考えていた時だった。

背筋が凍った。

｢なんだ...？｣

『ポートマフィアの増援...？』

私達は顔を見合わせた。

辺りの空気が一瞬で変わったのが分かった。

何かとてつもなくヤバい者が近付いて来る...

逃げるか戦うか...

考える前にセトが私の横から消えた。


『セト!?』

セトが壁に打ち付けられた。
セトの被っていた面の紐が切れ、落ちた...

｢よくもまぁ派手に殺ってくれたなぁ...｣

セトがいた場所で男の声がした。

ヤバい。
殺られる...

直ぐに分かった。
こいつは私よりもずっと強い。

私は後方に跳ぶ。

そして異能を発動させた。

『異能力！炎龍!!!』

私の手の動きに合わせて炎の龍が出現する。

男に向かってその龍をぶつけた。

と思った。

龍は男にたどり着く前に形を崩し、そして消えた...

『!?』

オーバーヒート!?
力を使い過ぎた...!?

私は頭が真っ白になる。

と、目の前の男が言った。

｢手前ぇ業火の使徒だろ...？｣

帽子で目元は見えなかったが不敵な笑みを浮かべていた。
なにもしていないのに彼の立っていた地面にヒビが入った。

私の事を知ってる...!?

私はボスが昔言っていたことを思い出した。

《ポートマフィアには重力使いの中原中也という男がが居る》

『重力使いの...中原中也...』

｢俺の事を知ってるか。なら話は早い｣

男は羽織っていた外套を放った。

｢俺の部下を殺ったけりはつけさせてもらう｣

あぁ
私は此処で死ぬのだろうか...？

走馬灯が見えたような気がした...

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