聞こえますか、この声が。 (ページ21)

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ep.21 ページ21

「今江....」

「久しぶりやね。良かった、目が覚めて」

前言撤回。大橋を叩き起こす。

「ふあっ？え？あ！丈くん！！！」

「お前、ふざけるなよ！？何考えとんねん！？こんなところ、連れてkっいったぁ...」

腹に走る鋭い痛みに思わず顔を歪めると、大橋が心配そうに顔を覗き込んできた

「丈くん、まだ動いたら、ダメやって。安静にせな。」

「お前、誰のせいやと...」

「まあまあ、落ち着いてや。」

「大吾たちは？置いてきたわけとちゃうやろな？」

今江の手が俺の背中に置かれる。一定のリズムに、心臓の動悸が収まっていくのがわかって、調子が狂う。

「大丈夫やで。上で子供らと寝かせてるから。」

今江の、のんびりとした心地いい声に、懐かしさを覚えるけど。

「なんで、こんな所連れてくんねん...。」

上で寝てる子供達

つまり、ここは教会か。

俯いて何も喋らなくなってしまった、大橋。

罪悪感が湧いてきて、顔をそらした。

そこで、ふと気づく

俺の、点滴を交換している今江。

「おい、今江。手..。」

「ああ、気づいた？まだ指先の感覚は戻らないんやけど。こんくらいの作業なら出来るようになった。」

そう言った今江はふわっと笑った

「２年間、俺が泣いて暮らしてたとでも思ってたん？」

「そ、んなこと..」

「今、誰がこの街仕切ってるん？」

そう、投げかけると、今江は大きな目をもっと広げた

「えっ、かずや、そんなことも喋ってなかったん？」

「やって、丈くん、嫌がるねんもん.....」

拗ねたような大橋の甘え声は、久しぶりに聞いたと思った。

流星とか、新入り３人組とか。

年下が増えて、知らん間にこいつにも無理させとったんかな。

「お、やっと目覚めたか。相変わらず朝は弱いな、ほんまに。」

「古謝...。」

白衣姿の古謝は俺を見ても大して表情を変えなかった

「お前が、腹に2発なんて珍しい。誰にやられた？」

「わからん。顔は見えんかった。」

「そっか。」

古謝はそれだけ言うと、他には何も言わなかった。

子供達が起きたのだろうか。2階から足音も聞こえる。

それから

「久しぶりやな、丈。」

松葉杖と一緒に入ってきた見覚えのある金髪。