聞こえますか、この声が。 (ページ13)

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ep.13 ページ13

藤原side

俺以外が全員出かけて、静まり返った部屋の中。

『丈が来たら、末澤も喜ぶと思うねん。』

大橋に心配かけてるのはわかってる。

困ったような笑顔で、でも、俺を傷付んために、みっちーには何も悟られんように明るくこの部屋を出てった数時間前の大橋が思い出されて、心がチクっとした。

『丈は悪ないよ。』

末澤は、俺を決して攻めんかった。

でも、違う

2人が死んだのも、

末澤の右足も、

今江が銃を持てんくなったのも、

古謝がそんな今江と一緒にチームを抜けたのも

全部全部俺のせいや。

俺の計画がもっとちゃんとしてたら。

絶対にあんな事は起きんかった。

俺が仲間を殺した。

みんなをバラバラにした。

そんな奴は、いたらあかん。

やから、一人で出てくつもりやった。

いや、死ぬつもりやった。

一人で爆弾でも持って国会議事堂に自爆テロでも仕掛けたろうかな、なんてアホな考えと一緒に。

深夜に一人で街を出たんやけど。

『丈くん、俺ついてっていい？』

あの日も大橋は、ちょっと困った笑顔で笑っていた

いつの間に、こうなったんやろ。

結局死に場所を無くした俺は、大橋とカフェをやりながら、情報を集め、収容所から抜け出した大吾と流星に出会い、2人を匿うために、4人でこの地下室を作った。

気づけば7人。

まるで、あの頃の俺らみたいやん。

「俺、一体どうしたいんやろなぁ、まとくん。」

いつでも答えをくれた人も、

笑って支えてくれたあいつも

もう、いない。

せやから

自分の中にいる弱い自分を、必死で殺して

過去を振り払うように、パソコンの画面に向かうことだけが

今の自分にできる最大の事

それ以上、過去を思い出したら

弱い自分はきっと泣いてしまうから