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壁に押し付けたAさんはただのか弱い女性だった。普段はゾムさんには及ばずとも強かで、単純な武力で言えば私より強いのに、だ。
「すみません、見つかってしまいました」
「それとこれに何の因果が……」
「こんなとこに居るのは裏世界の者か恋人くらいでしょう」
指を絡めて距離をつめる。少し加減を間違えれば触れてしまいそうな距離まで行くとAさんは目を閉じた。耳までと言わず首までを真っ赤に染め上げて羞恥に震えている。手に力を込めると弱々しく握り返す。そんな様子を見ていると愉悦とも恍惚ともとれる刺激が背中を走った。
本当にキスをしているかのように角度を変えて監視を窺う。しかし懐疑的な視線は止まず未だ監視されているらしい。目が良いからもしかしたら触れていないのが見えているのかもしれない。
仕方ない。そう思う傍ら、どこか喜ばしく思う自分がいた。
「すみません」
唇を押し付けるとAさんは明確に肩を跳ねさせた。しかし抵抗は見られず真っ赤になりながらも受け入れるその姿勢に、はっきりと劣情が形を成した。
舌を挿し込んでぐちゃぐちゃにしてしまいたい気持ちを抑えて名残惜しく離れると、既にこちらを窺う気配は消えていた。
「……行ったようですね」
「そ、そうですか…………」
「良い演技でしたよ」
意識して、普段通りを演じる。あくまで紳士的に、スマートに、背中についた砂埃を払ってやる。Aさんの瞳が悲しげに伏せられる。きっと私への恨み言を言いたくて、けれど立場を考慮して慎んだのだろう。足を踏み出せば何も言わずにAさんが後ろに付く。今はこの、Aさんを繋ぎとめる関係に感謝した。
初めて抱いた情は扱い方が分からず持て余している。とっくに離したAさんの熱が何故か皮膚に張り付いたままだった。
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野菜(プロフ) - 冬のみかんさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます！これからも「好き」と言っていただけるようなものをお届けできるよう2人で頑張りますね！ (2022年1月28日 9時) (
レス) id: 27822127af (このIDを非表示/違反報告)
冬のみかん - 初コメ失礼します。いつも見させていただいています！本当に好きです！これから続編の方でも頑張ってください！応援させていただきます！ (2022年1月28日 3時) (レス) @page2 id: b5169bd6bc (このIDを非表示/違反報告)
青条(プロフ) - 奏さん» コメントありがとうございます！イラスト素敵ですよね！お話読んでくださってありがとうございます。頑張って制作して参りますので気長にお待ちください……！ (2021年10月29日 21時) (レス) id: 3b14859680 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - ぇイラストかっこよ。お話だけでも最高なのに!これからも作者様のペースで頑張ってください! (2021年10月29日 19時) (レス) id: 00420758bc (このIDを非表示/違反報告)
野菜(プロフ) - ラグさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです！ (2021年10月9日 19時) (レス) id: 5520a4b1a9 (このIDを非表示/違反報告)
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