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「貴女にどんな想いがあろうと、バレンタインには浮かれる人が多く存在します。校内の不適切な交友関係は理由がなんであれ認めませんから」
「頑固者」
「貴女もでしょう」
こんなやりとりが常だ。お互い譲れないものがあるのだろうと思うけど、私達は今学生なの。この高校に通うただの高校生なの。昨今言われている『アオハル』なんていうものは今しか感じることができないし、生み出すことができないのだから。
「だからといって何ひとつ納得も譲歩すらもしてくれないなんて何考えているかわかったもんじゃないわあの唐変木！」
「そんなカッカしとったらパフェマズくなんでAチャン」
「だって！あの人ったら私がなんか言っても『風紀が〜』とか『不適切な交友関係が〜』しか言わないのよ！？絶対何かはぐらかしているとしか思えないのだけれどなーんも言わないもの！そりゃあお互いに敵対しているからだと思うのだけれど私一回も嫌いとか言ってないじゃない！！」
「あ〜マズなったほらマズなった、メープルパフェちゃん可哀想に」
「思っても無いようなこと言うんじゃ無いわよ鬱くん」
「毎回愚痴聞く身にもなってくれへん？」
目の前にあるのはチョコレートパフェと、メープルシロップのパフェ。その奥にメープルシロップのかかったクリームを掬って口に運んでいる、青みがかった髪をした眼鏡の男。鬱島 大くん。通称鬱くんだ。
彼は私と兄妹の関係にある。いや、そうなったと言うのが正しい。親の再婚相手の子どもが彼で、同級生だったというだけだ。兄妹は兄妹でも、義兄妹ってことだ。
最初の頃はそれだけで他の生徒に目をつけられたものだ。そう、彼はたいそう女性にモテる。そして彼も女性に目がない。というより浮気体質である。ホイホイ引っ掛けては乗り換えたり。なのになんでモテるんだろうか。きっとこういう聞き上手なところだったり、女性の喜ぶところがわかっているからなのだと思うけど。
私が愚痴を溢したい日。または彼が女の子に振られた日。そんな時は決まって家でスイーツを作る。鬱くんは甘いものが食べられるし、私はスイーツ作りでストレス発散できるし、一石二鳥である。ちゃんと感想をくれたり、きちんと平らげてくれるところはいい奴だなって思う。
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