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8話・お節介と言われようと ページ8

不愉快極まりないというAの態度。
東方もその態度に驚きから静かに苛立ちを募らせる。

「そんなすごい力は本当に求めている人に使えばいい」

ついに俯いて何も言わなくなった東方の様子にAは息を吐いた。ここまで言えばもう関わってこないだろうと。

傷を治す人智を超えた力。それを不思議と思う前に理不尽だと腹が立った。既に人間として何もかも恵まれている東方に神様はそれ以上の能力を与えるのかと。

本当に関わりたくない人間だ。
…いや、私みたいな人間が関わってはいけないんだ。

食べかけだった弁当に蓋をして手に取って立ち上がる。また地獄が待ち構えた教室へ向かう足。そのまま東方の隣を通り過ぎようとしたが、彼の大きな手に手首が掴まれた。

「俺…あんたに意地でもこの力を使ってやるよ」

「急に何言って…ッ!?」

Aが顔を向けたその先には清々しいほど笑った東方の表情があった。

「俺をキレさせた最高の嫌がらせっすよ」

東方は盛大に顔を歪めたAにさらに口角を上げた。

「俺がはいそうですかーってあんたの前からいなくなると思ったんすか?馬鹿っすねー。んなわけないじゃないすか」

恨めしく見つめるAに東方は気にも止めずに挑発をやめはしない。

「言いましたよね。俺、あんたに怒ってるって。だから今日も駆けつけた。そしたよぉ、また胸糞悪いことしてるじゃないっすか。2回も見ることなんて夢見が悪すぎんだろ」

「それはあなたが勝手に来るから悪いんじゃない!」

「いいや、あんたが悪いんだよ。俺を怒らせるから」

東方はフッと笑顔を消してイラつきを隠さずにAを見下ろす。

「今日で確信しましたよ。何がなんでも先輩の愚行を止めてやるって。このまま放っておいてあんたが野垂れ死んだなんて話、未来で聞きたくないっすから」

無茶苦茶だと顔を歪めるAに不意に東方は安心させるように目元を細めて優しげな表情を浮かべた。

「あんたにどんな事情があるかまだしらねぇ。けどよ、これから知っていけばいいだろ」

まるで知ればなんとかしてやるような言い草だ。
学校内のことなら自分が介入すればある程度のことは解決できる。今までの経験上そうだと言わんばかりに。

だが、その自負はただの根拠のない自信からではない。東方は自身の学校の立ち位置を理解した上で言っているのだ。

「だからよぉ、もっとあんたのこと教えて下さいよ。俺があんたを救ってやる。余計なお節介と言われようとなんだろうと」

9話・自分本位→←7話・人智を超えた能力



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圧倒的睡眠不足(プロフ) - 知らず知らずのうちに完結されていらっしゃる...だと...ッ!?流れから文の書き方からオチまで全部素敵すぎて引き込まれてしまいました!素敵な作品をありがとうございます! (5月7日 17時) (レス) @page32 id: 33f559404d (このIDを非表示/違反報告)
匿名M(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» コメントありがとうございます!前作も読んでいただき、今作まで…本当に嬉しいです!めちゃ良きなストーリー展開を続けられるよう頑張ります! (11月19日 22時) (レス) id: 0253a37101 (このIDを非表示/違反報告)
圧倒的睡眠不足(プロフ) - 前作ジョルノの小説も読ませていただいてました、新作もめっちゃ良き…!更新楽しみにしてます! (11月19日 13時) (レス) @page3 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:匿名M | 作成日時:2023年10月27日 10時

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