６話・生きるための行為 ページ6
必要以上に関わらないで。
そう言っているのに通用しない。突き放そうと冷たい言葉で返すと数十センチ上から威圧的に見下ろす視線に苛立ったような表情。
優しくしてやってるのに。
寄り添おうとしてやってるのに。
それらを蔑ろにした私に対して心の中で「生意気な女」だと吐き捨ているのだろう。それを見透かしたAは「もうほっといて！」と逃げるように学校へ向かった。
唯一、心休まる自分の時間を取られて気分は最悪だ。だが今、目の前にある教室の扉を開けたらもっと嫌なことが待っている。
震える手で扉を開けた。すると、先ほどまでガヤガヤしていた教室が途端に静まり返った。奥にいた一人の生徒が椅子から立ち上がってこちらに歩み寄る。
「今日もはじめよっか」
それと同時に目の前が真っ暗になった＿＿＿＿＿＿＿
いつまでも続くことはない。数年を乗り越えれば、解放されるのだろう。たった数年。だが、それが先が見えず、永遠のように思えて仕方がない。
後ろから聞こえてくる笑い声から逃れるようにAは教室のドアを閉めた。
「…全部濡れてる」
髪から滴る水滴。お茶の匂いが充満している。本来なら片手に持っている水筒に入っていたはずのもの。
ぎゅっと握りしめてAは何も言わずに足を運ぶ。一番渇きそうな屋上へと。階段を登って古びた扉を開けて開放的な外へ。古ぼけたこの屋上に誰一人としていない。皆は教室で仲のいい友達と楽しく昼食を食べている頃だろう。
それが羨ましいとは思わない。その資格がない。
Aは汚れた地面を気にせずに弁当を広げて座った。中身はぐちゃぐちゃになっている。先ほど振り回されたからだ。その弁当に箸をつける。黙って口に運んで食べてその繰り返し。それだけで泣きたくなった。
生きるための行為をしているこの瞬間が。
箸を止めたAは乱雑に弁当を置いてうずくまった。ここ最近は精神が不安定だ。
あの日、耐えなければならないと誓ったというのに。
「(あんたのせいで私は…ッ！！)」
脳裏によぎった"あの子"の言葉を思い出すたび逆らえない。だが、それが限界だと叫ぶ自分がいて。
自分ができることはなんだろうと考えたら辿り着くのは一つの結論。おもむろに取り出したカッターナイフ。自分を傷つけたら解放感で満たされるかもしれないと好奇心で買ったもの。前回はそれを実行しようとしたけれど…
「(あんたなにしてるんすか！！)」
必死な形相で止めてきた東方の姿が脳裏に浮かんだ。
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圧倒的睡眠不足(プロフ) - 知らず知らずのうちに完結されていらっしゃる...だと...ッ！？流れから文の書き方からオチまで全部素敵すぎて引き込まれてしまいました！素敵な作品をありがとうございます！ (5月7日 17時) (
レス) @page32 id: 33f559404d (このIDを非表示/違反報告)
匿名M(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» コメントありがとうございます！前作も読んでいただき、今作まで…本当に嬉しいです！めちゃ良きなストーリー展開を続けられるよう頑張ります！ (11月19日 22時) (レス) id: 0253a37101 (このIDを非表示/違反報告)
圧倒的睡眠不足(プロフ) - 前作ジョルノの小説も読ませていただいてました、新作もめっちゃ良き…！更新楽しみにしてます！ (11月19日 13時) (レス) @page3 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名M | 作成日時：2023年10月27日 10時
