４話・自分を罰したかった ページ4
「死なれたら夢見が悪いんすよ。だから、それを食い止める」
東方のいい分にAは眉をひそめた。
自己的な考え方で、こちらとしてはとんだ迷惑だ。
「〜ッふざけないでよ！あんたなんかに…ッ」
何もかも持ち合わせている男に救われてたまるか。
そうやって激情する自分とは反して東方は静かにこちらを見据えている。そのすかした態度もイラつかせる要素でしかない。
「俺なんかに…なんすか？助けてほしくないってか？」
だが、ズイッと一歩前に出て距離を縮めた東方の威圧感にAは口を閉じてしまう。
「そうやってすぐ黙るんすね。怒ってたんじゃあないんすか？もっと俺に言うことあるでしょ」
相手に気持ちを上手く伝えることができない。
それは得意不得意以前の問題で「お前はどうなんだ」と自分の意見をこんなに問い詰められることなんて…今までなかった。
戸惑う気持ちを隠すよう相手を睨みつけると、東方も同様に鋭い目つきで睨み返してくる。
「こう見えても俺、普段は初対面の先輩に対してこんな失礼な態度もとらねぇし、ズケズケと事情に踏み込むこともしないんすよ」
そう、東方は見た目と反して礼儀正しい面もある性格だった。髪型に関して触れられること以外は基本的には穏やかである。ましてや自身に対してなんの危害も加えていない相手に対して。
だが、彼の頭にチラつくのは大事な祖父が生き絶えた姿。人の死を最も間近に感じて、ひどく悲しんだ出来事。
「だけどよぉ、命を軽々しく見ているあんたにどうしても腹立つんだよ。どんな事情か知らねぇけどよぉー」
Aが東方の頬を打とうとした手は掴まれたまま、更に力強く握りしめられた。
「俺、怒ってるんすよ。あんた以上に」
東方には怒る理由があった。だが、Aが彼の事情を知るはずがなく、目の前の人物は恐怖の対象でしかない。だが、それと同時に怒りが募る。理不尽に追い詰められたこの状況。そして、何よりも…
「別に私は命を軽々しく思ってるわけじゃない」
「へぇ。だったら手首を切ろうとしたんすか？自分を傷つけて何がしたいんすか、あんた」
何がしたかったか。そう問われたら明確な答えは出せない。ただ、曖昧に言うとしたら…
「自分を罰したかった。それだけ」
その答えに東方は盛大に顔を歪めた。
「はぁ？余計意味が分からないんすけど」
苛つきを交えてぶつけられた冷たい言葉。不可解だと腫れ物を見るような目つき。
Aはその態度にジクリと胸に痛みが広がった。
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圧倒的睡眠不足(プロフ) - 知らず知らずのうちに完結されていらっしゃる...だと...ッ！？流れから文の書き方からオチまで全部素敵すぎて引き込まれてしまいました！素敵な作品をありがとうございます！ (5月7日 17時) (
レス) @page32 id: 33f559404d (このIDを非表示/違反報告)
匿名M(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» コメントありがとうございます！前作も読んでいただき、今作まで…本当に嬉しいです！めちゃ良きなストーリー展開を続けられるよう頑張ります！ (11月19日 22時) (レス) id: 0253a37101 (このIDを非表示/違反報告)
圧倒的睡眠不足(プロフ) - 前作ジョルノの小説も読ませていただいてました、新作もめっちゃ良き…！更新楽しみにしてます！ (11月19日 13時) (レス) @page3 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名M | 作成日時：2023年10月27日 10時
