２７話・伝える手段 ページ27
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「殺してやる」
正義感で生き抜いてきた彼が絶対言わないであろう言葉。聞き間違いかとAは東方を凝視する。だが、言葉通り大きな両手が真っ直ぐに伸びてきて首回りを包み込んだ。
屋上に倒れ込む少女。
その上に跨って首を締める少年。
Aは信じられないと見開いて相手を見つめた。対して東方の表情は何一つとして変わらない。優しく包んでいた首元が徐々に閉まっていく。一瞬の死で終わらせる気はない。じっとりと迫る死を味わせようとしている。
あぁ、勘づいてしまった。
Aは恐怖で顔を歪ませた…わけでもなく笑みを浮かべた。東方がその笑顔をみて顔を崩す。その瞬間に確信した。
「私が諦めてくれると思った？」
徐々に近づく死。そう、確実に死の恐怖を植え付けて「やめてくれ」と諦めさせようとしているのだ。なんて…浅はかだろう。
「一度死を覚悟した人間が直前で逃げ出すとでも？ハハッ！そんなわけないじゃない！私を殺すだなんて言っといて最初からその気がなかったわけね。生ぬるい。もういい加減諦めたら！？」
Aの笑い声に東方は何も言い返さない。だが、俯いた顔が上がるや否や見下ろす冷たい目に悪寒がした。
「…少しは期待したよ。あんたが諦めてくれること。だが、それが叶わないって分かったから決心がついた」
単純な脅しではなかった。
Aの想像を超えて東方は全く違う考えをしていたのだ。
「あんたに取り巻く醜悪の全てを殺してやる」
「ハッ…なにいって…」
Aの言葉はそれ以上続かなかった。首を絞める力が急激に強くなったのだ。必死に足掻くが大きな手はびくとも動かない。
「ただあんたはそれまで眠ってればいい。脳を酸欠にさせて昏睡状態に陥るだけだ。殺すわけじゃあない。俺は…Aを死へ追いやろうとする奴らを排除する」
「ーっ！？」
「…苦しかったよな。全部ぜんぶ自分のせいにして責め続ける他に選択がなかった。そうさせた父親もあの女も全てッ…全てどうにかすればあんたはッ！！！…心変わりしてくれるはず。そうだろ゛！？」
自分の環境を理解してもらおうと思ったことはない。最初から諦めていた。だが、そんな中で手を伸ばし続けてくれた存在が東方だった。
その手を掴みたくなった時を思い出した。
「知り合ってみたい」ただその一言で救われた時があったんだ。だからこそ…こんな形で東方を巻き込みたくなかったというのに。
それを伝える手段は東方の手によって奪われていた。
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圧倒的睡眠不足(プロフ) - 知らず知らずのうちに完結されていらっしゃる...だと...ッ！？流れから文の書き方からオチまで全部素敵すぎて引き込まれてしまいました！素敵な作品をありがとうございます！ (5月7日 17時) (
レス) @page32 id: 33f559404d (このIDを非表示/違反報告)
匿名M(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» コメントありがとうございます！前作も読んでいただき、今作まで…本当に嬉しいです！めちゃ良きなストーリー展開を続けられるよう頑張ります！ (11月19日 22時) (レス) id: 0253a37101 (このIDを非表示/違反報告)
圧倒的睡眠不足(プロフ) - 前作ジョルノの小説も読ませていただいてました、新作もめっちゃ良き…！更新楽しみにしてます！ (11月19日 13時) (レス) @page3 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名M | 作成日時：2023年10月27日 10時
