１４話・許されていい存在 ページ14
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ほっといていい。あの子も私も含めて。
その真意を鈍くない東方なら汲み取ってくれるだろうと伝えたというのに
「そんな姿みてほっとけるかよ」
砂まみれの自分を見下ろす東方をAは見上げた。すると、手が伸びてきて頬に添えられると痛みが引く感覚。
「…どうしてもほっておいてくれないんだね」
「知らないふりしてる奴らの方が気が知れないだろ」
「東方が珍しい方なの。きっと…後から後悔するよ。私を助けたことも、関わってることも」
私がこうなってしまった原因である事情を知れば尚更。
東方は眉を顰めて「んなわけないっすよ」といいのけた。だが、違う。誰だって最初はそういった。
いじめの被害者である自分に手を差し伸べてくれた生徒も教師も過去には何人かいた。だが、あの子がいじめをしている理由を周知すれば、こちらに差し伸べる手はなくなっていた。私自身すら納得せざるを得ない理由でだ。
Aは何も知らない仗助から目を逸らして頬に添えられる温かい手を払いのけた。
「お願いだからやめて。これ以上…ッ」
優しくされると勘違いするのだ。自分は許されていい存在だと。
それ以上のことは何も言わず東方の前から立ち去ったAは何事もなかったように午後の時間を過ごした。
授業が終わり、放課後どこへいく？と楽しげな会話をする生徒の横を通り過ぎて真っ直ぐに帰路につく。30分ほど長い距離を歩いて見えてきたのは大きな木造の家。
固く閉められた扉。横にあるタッチパネルでパスコードを入れるとガチャリと開く。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
奥から使用人が出てきて頭を下げる様子を「そういうのいいよ」という言葉を呑み込み横を通り過ぎる。いつも通り早足で自分の部屋へ向かおうとしたが、玄関に置いてある黒の革靴に息が詰まった。
そして、廊下の奥から現れた人物。スーツをきっちりと着こなして有無を言わさない圧倒的な威圧感。鋭い目つきが向けられた途端にAは萎縮した。
「帰ったのか」
「…はい。お父さん」
父はAの前まで歩み寄るとジッと何も言わずに見下ろす。その視線の先は服についた汚れだった。
「今日は目立った傷はないにしろ、またやられたのか」
「！」
「情けないな。俺の娘であるお前が。気に食わないものはな…」
大きな手が勢いよく首を掴んで締め上げられる。強い力に苦しげにするAを見下ろす父は凶悪な笑みを浮かべた。
「消しちまえばいい、何もかもな」
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圧倒的睡眠不足(プロフ) - 知らず知らずのうちに完結されていらっしゃる...だと...ッ！？流れから文の書き方からオチまで全部素敵すぎて引き込まれてしまいました！素敵な作品をありがとうございます！ (5月7日 17時) (
レス) @page32 id: 33f559404d (このIDを非表示/違反報告)
匿名M(プロフ) - 圧倒的睡眠不足さん» コメントありがとうございます！前作も読んでいただき、今作まで…本当に嬉しいです！めちゃ良きなストーリー展開を続けられるよう頑張ります！ (11月19日 22時) (レス) id: 0253a37101 (このIDを非表示/違反報告)
圧倒的睡眠不足(プロフ) - 前作ジョルノの小説も読ませていただいてました、新作もめっちゃ良き…！更新楽しみにしてます！ (11月19日 13時) (レス) @page3 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名M | 作成日時：2023年10月27日 10時
