遺してゆくのは赦されない ページ5
居間に戻ると、宇佐美と小南と陽太郎がソファに座ってくつろいでいた。小南は先ほどまでどら焼きがないと騒いでいたのだが、今ではすっかり元通り。足を組んでお茶を飲み、這入ってきた三雲たちに目を向けると、「戻ってきたわね」と上機嫌に言う。
「さっさと訓練始めるわよ、おチビ。あと、レイジさんたちならすぐ戻ってくるから。アンタたちも準備してなさい」
「は、はい！」
三雲と雨取は小南の指示にすぐ返事をしたが、空閑は頭のうしろで手を組んで、「なあ」と話を変えた。
小南は片眉を上げたが、若干低い声で「何よ」と促す。冷や汗を垂らした三雲が見守る中、空閑は話を切り出した。
「いまぎれ先輩はどうしてああなったの？」
「Aさんのこと？ そんなの知らないわよ。迅に聞けば？」
「いまぎれ先輩ってさ、死んでるのか？」
「はァ？」と地を這うような声が、小南の口から漏れた。小南の視線は鋭く空閑を貫き、部屋には緊迫した空気が漂っている。三雲の顔の冷や汗が二粒増えた。
「……何、言ってんの？」
「ただの推測だよ。だってアレ
「黒トリガーだったら何なのよ？ Aさんはちゃんと息してるじゃない！」
「ふむ。……そっか。勝手な推測をして申し訳ない」
空閑の身体は黒トリガーでつくられている。だから空閑とレプリカは、Aも空閑と同じく一度死にかけ、黒トリガーに本来の肉体を封印されているとアタリをつけたのだが、それでは六年も眠り続けていることの説明がつかない。
ではもし、Aが死んだ状態で黒トリガーに封印されたのなら？ 脳は死んだあともしばらく活動を続けるという。今がその時間なのだとしたら、眠っているのも説明できるのではないか、と空閑は考えた。
しかし小南の言う通り、Aは呼吸をしているから死んだわけではないだろう。それに、いくら封印されて死が遅くなっているとはいえ、六年は長い。
「……こなみはね、Aさんに一番可愛がってもらってたんだって。だから絶対Aさんを信じてるの」
「……起きるわ。まだ私が成人してないんだから。子どものうちは護ってくれるもの」
「まあ迅さんも『おれがAさんの一番』って言ってるんだけどね！」
「はあ？！ 絶対ない！ 少なくとも迅ではないわ、迅では！」
宇佐美がけたけた笑いながら「どーかなー」と小南を茶化す。小南はむきになって怒り狂い、空閑の首根っこを掴んで訓練室に放り込んだ。
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ペネロッペ(プロフ) - 神作品だ…神でしかない……応援させていただきます！！！ (2022年9月24日 9時) (
レス) id: 6ccf1f8e55 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 月さん» はい、頑張ります！ありがとうございます。 (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - しらないさん» コメントありがとうございます。お待たせしてしまい申し訳ありません。今後も頑張っていきますのでお待ちいただけると嬉しいです！ (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - フラッペ??さん» そこまで言っていただけて光栄の極みです……。ありがとうございます✨ (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 雲雀さん» ありがとうございます！ゆっくりにはなりますが更新しますのでよろしくお願いします。 (2022年9月5日 8時) (レス) id: 2e7389805a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年9月20日 15時
