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「ほらね！」と言わんばかりに堂々と男らを見やるAと、呆れたり笑ったりそれぞれの反応をする男らを、迅は冷や汗たっぷりで見ていた。リビングはともかく、ここにおれがいるのはマズいのかもしれない……迅の予想は全くその通りであった。
Aは堂々たる態度でありながら、男らに詰め寄られ、問い詰められている。そもそも小南の言う"極秘"を迅が知ってしまったかもしれないのが問題なのである。Aは間違いなくルールを破ったのだし、その機会を設けてしまった。叱られるのも必然と言ったところか。
そんな大人の事情を知らぬ小南は、口惜しそうに歯噛みしながら、悔しまぎれの言葉を迅に投げかけた。
「……フン、なかなかやるじゃない。けど、アンタはその前に六十七敗してるんだからね。その上でのたったの一勝なんだから。調子に乗るんじゃないわよ」
「ああ、わかってるさ。でもこれから七十戦したらおれが勝ち越すかもよ」
「さっそく調子に乗っちゃってアンタは〜〜っ！」
「むきーっ」と小南が怒りを拳に乗せて迅にぶつける。迅は軽く笑ってやり過ごし、Aを盗み見る。深刻そうな大人たちは、何やら難しそうな話をしている。
「まあそうね。いいわよ」
「……え？ 悪い、聞いてなかった」
「二度も言わせないで。認めてやるって言ってんの」
「…………え？」
「だぁかぁらぁ！ このあたしがアンタの加入を認めてやるって言ってんのよ！」
地団太を踏んだ小南の意見に迅は目を剥く。なんだこの子は。何か勘違いをしていないか？
その大声は大人たちの元まで届いていたようで、男らはぎょっとし、Aはやれやれと首を振っている。ただ一人、小南だけが満足そうにうんうんと頷いていた。
そのとき、迅には未来が視えていた。自分がボーダーとやらに加入し、戦っている未来。笑っている未来。…………そして、異形の生物がこの三門市を襲っている未来。それらはかなり確実に近い未来だった。迅はボーダーという組織が何たるかをまだ知らなかったが、入った方がよい未来に繋がることがわかった。
「もちろん入るんでしょ？ 迅」
「うん。おれ、入るよ。……入らせて、ください」
こちらを窺う大人たちに頭を下げる。数人の男は困り顔で、また数人の男は大声を上げて笑っている。Aはすこしだけ悲しそうな顔をしていた。
やはりただ一人、小南だけが満足げに胸を張っているのであった。
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ノア(プロフ) - Noahさん» あいしてます (2021年9月21日 17時) (
レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 金の帳さん» ありがとうございます。迅さんカッコいいですよね！ 続編もよろしくお願いします。 (2021年9月21日 17時) (レス) id: dd57ce1718 (このIDを非表示/違反報告)
Noah(プロフ) - すきです (2021年3月20日 2時) (レス) id: 3eb26abe40 (このIDを非表示/違反報告)
金の帳 - めっちゃおもしろいです！迅さんはやっぱりかっこいいですね！更新楽しみにしてます！ (2021年2月8日 23時) (レス) id: 1e8abd378d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア | 作成日時：2021年2月7日 10時
